SPECIAL ガレッジセール ゴリの夢 おきなわ新喜劇の先にあるもの|ガレッジセール ゴリ【後編】

2017年04月12日
お笑いに留まらずマルチな才能を発揮し、役者、演出、映画監督と活躍の場を広げ、 日本のエンタメ界を牽引するガレッジセール ゴリ。 そんな誰もが知る「ゴリ」が、沖縄観光とエンターテイメントの融合を夢見て、 沖縄文化を継承し新産業を創りだすというビジョンを語る。周囲を巻き込み、 そして自身を動かす内なるものとは何なのか。「カタリスト ゴリ」のその一面に迫る。

【前編はこちら】作・演出・演者はすべて自分 だからこそ選んだ「お笑い芸人」という職業

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「何とかなる」ためには、どうしないといけないか

沖縄のお笑い芸人と本土のお笑い芸人との間に違いはありますか?

「責任感がまったく違います。責任感のレベルが違う。東京と関西は、沖縄よりもっともっと責任感を持って仕事しています。仕事ももっとハードだし」

何に対する責任ですか?   笑いに対する?

「もちろん。だって笑いをとらないと、その先売れていかないですよ。で、売れるために数少ないイスを勝ち取るためには、ちょっとでも時間あったら新しいネタ考える。例えば、座長の川田が『ここにガッとくるやつ入れておいて』とか言ったとします。それに対して、与えられた台本を覚えてやるだけではダメ。『何とかなる、いつかは』と思っているだけではいけないんです。東京と大阪の若手は、『何とかなるためには、どうしておかないといけないか』って、常に自分で考えています」

なるほど。ハングリー精神の差は大きいですね。

「僕も東京に出て、『ナイチャーなんかに負けるか!』って思っていたんですよ。でも、ナイチャーが沖縄でリゾート開発を含め大きな事業をどんどん成功させています。だけど、沖縄の人は文句を言うしかできず、そこがイラっとくる。だったらおまえが起業して勝てよって言いたい。僕の友達も内地に来て、ナイチャーの文句ばっかり言って結局その後、沖縄に帰るっていう人もいっぱいいたんですけど、ナイチャーが悪いんじゃなくて、おまえが負けたんだろって。なんで、すべてを内地のせいにするんだろう、ナイチャーだっていい人はいっぱいいるし、沖縄だって悪い人はいっぱいいる。人のせいにしているうちは決して勝てないと思いますね」

ゴリさんは常にお笑いのことを考えているのですか?   オフで話しているときでも、面白いことを見つけたらすぐに言うじゃないですか。オフになるときってあるのかなって。

「ないない!  ひとりで歩いているときでも、景色を見ているときでも、無意識に何か吸収しようとしていますね。もう、これは職業病。だから、毎晩酒を飲んじゃうんだよね。思考回路を止めるために。酒を飲まないで寝ると意識がはっきりして、フッと仕事のこと考える。そして携帯を取り出して、思いついたことメモる。そういうのが嫌だから、酒を飲む。すぐ酔っ払いたい人間だから、ペースも早い。飲んで酔っ払ってきたら、そろそろいい感じだなっと思ったら寝る。(笑)」

酔っ払って寝るときだけ止まっているんですね。

「そう。だからいつもホテルにスーっと入ってひとりで飲むか、帰る途中のバーに寄って、カウンターで3、4杯一気に飲んで、その帰りにまた近くのコンビニで酒買って2、3杯飲んで寝るっていうのが続いている。ちなみに、飲むときはひとりで飲む派。人と飲むのは気い遣いだから疲れちゃう。相手が黙っていたら、何とか話を続けなきゃなと思って疲れちゃうんです」

ゴリさんも気疲れするとは少し意外な一面でした。

「気い遣いですね。気も弱いし。だから、その不安をできるだけ無くしたいから、努力をする。そうしたら、不安もなくなるんだよね。練習は本番で裏切らないって言うように、常に努力を怠らなければ、絶対に結果は出ると信じてます。いろんな場に出くわしても、パニックにならない。だから、いっぱい恥かくことを意識する。よく舞台で若手が『こういうネタやりたいんですけどどうですか』って聞いてくると、僕はたいてい『やってみろ』っていいます。いいじゃないですか、すべったって。すべったら『これはダメなんだ』って勉強になるし、うけたら『これうけるんだ』って勉強になる。僕もネタとか、自分で思いついたら勝手にやるんですよ。すべろうが何しようが。特に若手の頃は、恐がっていると伸びないと思う。確実にうけるボケしかやらないと。僕今でもすべったりもしますし、カットしてってみんなには言うけど(笑)。あと、すべっても自信を持って、平常心でいることが大切。逆に、失敗を恐がると落ち着かないんですよ。僕も今でも失敗しますけど、でも平気な顔をしていますね。ひとりで長い芝居とかやっていて、そんなにうけないんですけど、やり続けるんです。でも、お客さんが『つまんない』と思っていることは自然と伝わってくる。僕は勝手に自信持ってやっているけど、でも、多分それを若手の頃にやれって言われたら、顔が引きつっていきなり早口になったり、焦り出すと思います。でもそうすると、見ているお客さんも不安になってしまう。舞台に立っている人が焦ったりしているのが、お客さんはすごく感じるんです。そうすると『あ、可哀想』って思われて、いくらこの後挽回しても、結局笑わなかったりするんですよ。だから、若手にはポーカーフェイスも学んでほしいですね」  

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もうすぐ、第9回沖縄国際映画祭!今年の見どころは?

話は変わりますが、去年は役者として主役もされ、また監督もされています。

「役者は、やりたいって言ってできるものじゃないですからね。『沖縄を変えた男』も呼ばれたので。チャンスがあったから、やらせてもらっただけで、自分から『やらせてください』って言ったわけでもないし。僕自身、サッカー部なのに、何で栽監督の役に呼ばれたのか今でも不思議です(笑)。でも、ロングラン上映するほどのヒット作品に出させてもらえるっていうのは、本当に光栄です。自分で映画を撮るし、その映画の中で自分も役者として出たりもする。本当は別に出なくてもいいんですが、役に当てはまる人が見つからないので、もう自分が『じゃぁ俺がやります!』っていうことで出るだけ。むしろ、『演出のときは、演出に集中したい』という気持ちのほうが大きかったりしますね」

役者として評価されたら、やはり嬉しいですか。もし、またオファーあったら?

「もちろん、嬉しいです。評価されるのは人間とっても嬉しいでしょ(笑)。でも、やっぱり僕は自分で創りたい人間だからなぁ。だから、映画も毎年1本作っています。今は、ガレッジセールのネタ、新喜劇のネタ、映画の3つ。この3つが、僕にとって最もでっかい仕事です。これらを大事にした上で、さらに空いている時間があるんだったら他の仕事もやりたいけど、この3つをおざなりにしてまで他の仕事はしたくない。もうおかしくなっちゃう」

沖縄国際映画祭が始まります。9回目ですが毎年忙しいですよね。今年の見所は?

「もう来年で10周年ですからね。今回は、レッドカーペットが国際通り一カ所に集中して、9年間の歴史の中でも最大規模になるかと思います。これまで、何万人の方々が沿道で見ていただいていますけど、やっぱり早い時間に来たほうがいいです。遅い時間だと、もう後ろのほうはほとんど見えなかったりするので。距離を長くするとそれだけ最前列のほうが増えるじゃないですか。だから、早い時間のほうが近くでいろんな芸能人の方を見られると思います。あと、離島も全部含めて『島ぜんぶでおーきな祭』を頑張りたい思いが強い。今回は石垣島と宮古島でもイベントが開催になったので、本当に島全体で大きな祭が実現しつつある。やっぱり、沖縄の離島の中でも主要2島に参加していただけたことは、すごくありがたいことです。離島でも、歌があったり、映画があったり、お笑いがあったりする予定です。映画祭に向けて観光客も増えてきますし、おきなわ新喜劇も積極的に観光のルートのひとつに入っていきたいですね」  

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最後に、読者である沖縄の若者に向けてアドバイスをお願いします。

「ないなぁ、特に(笑)。僕らが若いころは、世界はもちろん、まだ東京も遠い場所でしたけど、今はもうネットのおかげで、東京だから世界だからといって距離を感じることなく、どんな場所からでも自分の意見やエンターテインメントを発信できるようになり、僕の時代とはまた違う感覚だと思うんですね。だから、チャンスがたくさん転がっている分だけライバルの人数も多くなる。何億、何十億って人たちがいて、その中で秀でてトップに躍り出るのは、なかなか難しいんじゃないかな。でも、そういう状況だからこそ、僕は根拠のない自信が大事だと思っています。僕は学校で一番面白いとか言われていた人間ではなかったけど、何とか頑張ってネタを一生懸命作れば、結構売れるんじゃないかなって勝手に思っていた。そもそもまず、周りがおまえ絶対全国で売れるよ!  なんて言わないですからね。俺のほうが面白いって思っている友だちのほうが圧倒的に多いですから。だから、根拠のない自信が最後は自分の背中を押すんですよ。『自分の今の実力はこれくらいしかないから、これくらいの仕事しかできない』と思ったら絶対にダメ。自分はああいう仕事につけたら本当は嬉しいと思ったら、根拠のない自信なんて後からいくらでもついてきます。自信がついたら実力も後からついてくるので、まずは『こうなりたい!』という気持ちを大事にしたほうがいい。そして、気持ちで突き進んでほしい。気づいたら多分、自分のなりたい職業の近くまできているはずなので、そうしたら後は本当に努力して、夢を掴んでほしいと思います」  
ガレッジセール ゴリ 1972年5月22日生まれ沖縄県那覇市出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。1995年、中学生時代の同級生・川田広樹と「ガレッジセール」結成。劇場、テレビ、映画制作など、その活動は多岐に渡る。2014年からはゴリがプロデュースする「おきなわ新喜劇」がスタート。沖縄花月でのレギュラー公演、全国ツアーをおこなっている。
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