REPORT サイバーエージェント曽山氏が語る「強みを活かす人材マネジメント」とは?

2018年07月04日
JOB ANTENNA Picksにてリポート第1弾を掲載した「人材育成認証企業シンポジウム」。2018年6月8日「沖縄県人材育成企業シポジウム」がロワジールホテルにて開催されました。「強みを活かす人材マネジメント」というテーマで基調講演を実施。20年で従業員数が20人から8,500人になった経験から、様々な事例を通して「強みを生かす人材マネジメント」についてお話しいただきます。
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サイバーエージェント流「強みを生かす人材マネジメント」

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分岐点は「社員同士が仲良くすること」を経営課題として取り組んだとき

サイバーエージェントも過去は、ものすごく風通しが悪い会社でした。退職率が30%を超えている年もありました。2000年から2003年まで、退職率が毎年30%。計算上では、3年で全員入れ替わるような状況です。 当時は、社員同士の交流や飲み会が少ない状況。「チームワーク」という言葉は社内に存在していませんでした。 そういった状況が3年ほど続いていた中、その問題を解決するために経営が意思決定したのは「社員同士が仲良くすることに、投資をしよう。」ということです。 %e8%ac%9b%e6%bc%94%e3%80%80%e9%80%86%e3%82%b5%e3%82%a4%e3%83%88%e3%82%99 言葉としてはすごく簡単ですが、「社員同士が仲良くすることを、経営課題として取り組んでいこう。」そう考えたことが、私たちの分岐点でした。 その施策の代表的なものは部署懇親会の費用支援です。 すごく業績が上がっている部署を調査したら、社員同士やチームメンバー同士のランチや飲み会が頻繁で、上司と部下が定期的に面談しているなどコミュニケーションが非常に多いことが分かりました。まずはこれを参考にやってみようということで懇親会支援制度を2003年に作りました。上司と一緒に飲みに行くことを条件に、懇親会費を月に一人当たり5000円支援しています。この制度がハマって、しっかりと部内でコミュニケーションが生まれるきっかけになりました。これは今でも機能している制度になっています。 その他の施策は部活動支援があります。「10人集まったら月に1人当たり1500円部活動費用出す」というものです。これも一つだけルールがあります。1500円の経費精算の時に、活動時の記念撮影を必ず添えること。部活もフットサルや麻雀、ボルタリングなど5〜60くらいあります。この制度のおかげで1年目から社長まで交流できていて、仕事以外の関係を作れています。好きなことや趣味という共通項によって、人への親近感が湧いたり、人への信頼感が持ちやすかったりする。風通しの良い会社を作る上では仕事以外の人間関係は非常に大事だと考えています。  

右肩上がりの業績を支えるのは事業戦略と人事施策

%e5%9f%ba%e8%aa%bf%e8%ac%9b%e6%bc%94%e3%80%80%e6%9b%bd%e5%b1%b1%e6%b0%8f%e6%a8%aa%e7%ac%91%e9%a1%94 サイバーエージェントの業績は2000年の売上2億円、去年が3700億円。今年が4200億円を目指しています。業績が上がっている理由は、事業戦略だけではなく、いくつもの人事施策の歯車が噛み合ってきて一気に業績が伸びてきました。 実は人事制度は、一個一個の制度を作ることも重要ですが、それぞれの人事制度が関連性を持っているかも重要です。それぞれの制度が繋がっていることで、非常に強い制度になる。例えば、新規事業プランコンテストがあって、たくさんアイデアを出す。たくさんアイデアを出して新規事業を立ち上げたら、失敗する人と成功する人が出てくるので、失敗する人を守るような制度が必要、というような流れができているかどうかがすごく大切です。 サイバーエージェントは若い人がとても多い会社です。サイバーエージェントグループで4500人の正社員がいて、有期雇用の社員が4000人。正社員4500人のうち、大半が20代と30代で構成されています。私は今43歳ですが、4500人のうち、40代以上は400人くらいと1割弱です。 つまり、4100人は20代30代だけで構成されています。な20代で2000人、30代で2000人。そして、400人くらい40代がいる。今日ご紹介する人事制度も、かなり若い人向けに作っています。ネーミングやアイデア等、自社では実施が難しいと感じられる方も、エッセンスは感じていただけるかと思いますのでご紹介させていただきます。  

「社員の力を活かす」3つのポイントとは?

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いかに「言わせてやらせる」環境を作れるか。

まず1つ目は、「言わせて、やらせる」。この事例をどれだけ増やせるかが社員の主体性を引き出す1番重要なポイントです。つまり、「はい、やりたいです」と言ってもらえるような状況を作る。それで、それがいいものだったら、「うん。やってみなよ」ということで、やらせてあげる。 社員に主体性を持って欲しいとかもっと前向きになって欲しい、主体性を上げるためにはどうすればいいかという議論をすることが良くあります。1番大事なことは、まず言える環境があること。言える環境があるというのは、社員がそう思っているかどうかってことです。経営陣が言える環境があるって思っていてもダメなんです。 「言わせてやらせる」の具体的な事例を一つお話ししたいと思います。 %e3%81%82%e3%81%97%e3%81%9f%e4%bc%9a%e8%ad%b0 「あした会議」という経営陣と社員が一緒になって新規事業や中長期の課題解決案を考える合宿があります。これは2006年から毎年1~2回実施し既に20回ほど実施していますが、これによって生まれた新会社が30社、また累積の売上は1000億円、営業利益は100億円となります。 サイバーエージェントは取締役が8名おり、審査をする社長以外の7名の役員がそれぞれ4名の社員を招聘して、チームを編成します。メンバーはあした会議本番から1ヶ月前に役員が集まってドラフト会議をするんですね。営業MVPの山田くん、とか、デザイナーで活躍してる鈴木さんという感じです。このチーム編成に1個ルールがあります。会社の経営課題を潰すための会議であり、役員は自分の担当分野を提案してはいけない。つまり自身が見ている事業とは違う分野の提案をしなければならず、他の部門から優秀な人材を見つけてチームを作るので、普段仕事では接点のない人材がチームメンバーとなります。 ドラフトの前になると、役員が自らランチに行ったりヒアリングをしたりして優秀人材の発掘が始まる。こうやって優秀人材を発掘する習慣ができているんですね。 あした会議本番では、提案内容を3分間プレゼンします。20点満点中11点だったら決議となりますが1点とか2点という寂しい点数になることも少なくありません。 ただここからが大事です。ブラッシュアップタイムという時間があり、社長の藤田が各テーブルに回って、「さっきの提案、ここがとってもよかったけれども、ここの部分は課題があるからもうちょっと一緒に考えようよ」というようなフィードバックがあり、社長の藤田と役員1人、そしてチームメンバー社員4人が一緒に経営課題を議論する、という場を作ります。 全テーブルを藤田が回り、経営課題を一緒に考えることで、経営に社員を巻き込むんですね。これは、会社を動かす上ですごく大事なポイントで、経営の意思決定に社員を巻き込むことで意思統一がスムーズになります。 夜もう1回提案して「すごい良くなったね、人選もバッチリだよ、よし15点」といった感じで決まっていきます。この制度がうまく機能したことにより、新会社30社、売上1000億を生み出すことができました。  

チャレンジして失敗した人は労う。

2つ目は「セカンドチャンスの事例」。社員の力を引き出すために大事なのは、例えチャレンジして失敗したとしても、その社員が会社内でセカンドチャンスを受けているという事実です。具体的にいうと、新規事業の提案とか、経営の改善提案。手を挙げさせてみて、任せたもののうまくいかず撤退や廃止になるケースはあります。でも、失敗したからといって、その後評価や給与が下がったり、叱責されたり、みたいになると、当然ですけど二人目は続かないわけです。 なので、サイバーエージェントではチャレンジした結果、失敗した人は、労うことをしています。 よく頑張ったね、この一言を言えるかどうかがすごく大事。チャレンジした人はもうすでに恥をかいている。そこに、またえぐるようなナイフを刺す必要はなくて。まずは労う。そして次どうしようかということを導く。部署移動を応援する仕組みもあるため、セカンドチャンスの事例をとにかく増やすように1人1人に対応しています。 %e8%ac%9b%e6%bc%94%e3%80%80%e6%96%9c%e3%82%81%e5%89%8d   弊社はこのように人事制度を展開していく上で「挑戦と安心はセット」というキーワードを掲げています。単語としてはすごく簡単な言葉ですが、非常に効果的な言葉だと感じています。昔はサイバーエージェントに、チャレンジができないならやめますといって離れていく人と、あと将来が見えないから不安なのでやめますっていう安心が欲しいという両方社員がいました。どっちを取ろうかと悩みました。 悩んだ結果、『ビジョナリーカンパニー』という本に書いてあった、永続する企業は、And、AとZという矛盾があった時に、必ず両方できる方法はないかを、リーダー陣がとにかく考える。ダメな会社は、orという抑圧に負けてしまう。AとZといったら「A」とか「Z」のどちらか一方で考えてしまう、とう考え方を取り入れました。 具体的にどう動いていくかというと、人事制度マッピングというものを作っています。 %e4%ba%ba%e4%ba%8b%e5%88%b6%e5%ba%a6%e3%83%9e%e3%83%83%e3%83%92%e3%82%9a%e3%83%b3%e3%82%af%e3%82%99 全部で4つの軸の線を引きます。右側と左側で挑戦の人事制度と、安心の人事制度。 例えば挑戦の人事制度は、先程申し上げたあした会議とか、新規事業の提案とかチャレンジできる制度です。左側が安心なので、福利厚生とか、休暇とか、例えば育児の補助とか、そう言った生活のプラスになるような安心材料の制度。これをまずマッピングします。 縦は何かと言うと、報酬です。サイバーエージェントに限らず、人材を生かすという上ですごく重要なのが、下の金銭報酬はもちろんですが、上の感情報酬です。 僕らは報酬を大きく2つ区分しております。金銭報酬だけでなく、それ以上にワクワクとか楽しいといった感情がポジティブになるような感情的な報酬。この感情報酬と金銭報酬を重要にしています。 このように挑戦と安心をセットで考えられる人事制度の設計を行なっています。  

みんなに聞いて、個別に対応する。

%e8%ac%9b%e6%bc%94%e3%80%80%e9%80%86%e3%82%b5%e3%82%a4%e3%83%88%e3%82%99   そして3つ目。「聞くのは全員、対応は個別。」 実際に全体に聞いて、一人一人にアプローチするという仕組みです。「社内ヘッドハンター」という制度があります。簡単にいうと異動担当です。適材適所の専門チームがありまして、毎月、オンラインで社員にアンケートをとっています。組織は大体2〜300人とかぐらいになってくると、顔が見えなくなってくるので、アンケートを全員からとって、全員の声の中から、重要なものを役員会で共有するということをしています。必要になったら面談して異動までつなげる。 その時に利用しているのが、GEPPO(ゲッポウ)というオンラインアンケートです。 毎月5分程度で回答できるような3問のアンケートをとる、という仕組みです。 1問目は固定になっていまして、先月の自分の成果を天気で聞いています。日経新聞の産業天気図をイメージしてもらえるとわかりやすいと思います。その天気図のように、快晴から土砂降りで表される社員のコンディションを毎月確認することができます。例えば一人の人が「晴れ晴れ晴れ晴れ晴れ雨」となっていたら、雨になった瞬間にヘッドハンターが面談をします。 退職っていうのは当然向き合うべきなのですが、退職の中でも良い退職、悪い退職があると感じています。悪い退職は「びっくり退職」と呼んでいますが、「えっ、山田くんやめるの?」みたいな。びっくり退職を減らすには、こうやって毎月のようにコンディションを確認して、必要であればフォローする、ということをやっていくということが大事だと思います。 ここで回答された内容は、役員と、このヘッドハンターチームにしか共有されず、上司には見せません、ということで毎月対話をして行きます。 退職のリスクやハラスメントのリスクを事前に回避するために、非常に役に立っている仕組みです。 ということで、サイバーエージェントの事例としてこの3つのポイント含めて事例を紹介させていただきました。本日はみなさんご静聴どうもありがとうございました。  
曽山哲人(そやま てつひと) 株式会社サイバージェント 取締役 人事統括 上智大学文学部英文学科卒。 株式会社伊勢丹(株式会社三越伊勢丹ホールディングス)に入社し、紳士服の販売と EC サイト立ち上げに従事したのち、1999 年株式会社サイバーエージェントに入社。インターネット広告事業部門の営業統括を経て、2005 年人事本部長に就任。現在は取締役として採用・育成・活性化・適材適所・企業文化など人事全般を担当。「クリエイティブ人事」「強みを活かす」など、複数の著作出版やアメーバブログ「デキタン」での情報発信に加え、経営者や人事が参加する人事勉強会コミュニティ「H LC」を主宰。
曽山晢人氏 Official Facebookページはこちら 白井旬氏率いる沖縄人財クラスタ研究会HPはこちら

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