INTERVIEW 【対談#1】 AIは仕事を奪わない?! Chat Support Base株式会社が考える「働き方の未来」とは?

2019年10月10日
%e8%a8%98%e4%ba%8b%e5%86%85%e7%94%bb%e5%83%8f 「AIは仕事を奪う」といった言葉が聞かれる昨今、なんと沖縄にも新たな「AIを活用する企業」が誕生した。 どんどん業務のAI化が進んでいく中で、これから私たちの仕事はどうなるのか…! ということで今回は、沖縄・那覇市に新しくできたChat Support Base(チャットサポートベース)株式会社さんのオフィスにお邪魔し、JOBANTENNA PICKS編集部の金城がAI時代のカスタマーサポートの仕事についてお伺いしました。 2 【Chat Support Base(チャットサポートベース)株式会社】 2018年9月にヤフー株式会社と株式会社サイバーエージェントが共同出資して設立したカスタマーサポートの会社。「最高のカスタマーサービス体験をパートナー企業と共に創り、ユーザーの課題を解決する」ということをミッションに、AI(bot)とスタッフによるハイブリッドなカスタマーサポートを提供しています。  

ヤフーの資本力があるからこそ、たくさんの雇用を生み出せる

お話を伺ったのはこの方、Chat Support Base株式会社の池田さんです。
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Chat Support Base株式会社経営管理部部長 池田 秀明(いけだ ひであき)さん。2002年にヤフー株式会社入社後、Yahoo!ショッピングの営業からキャリアをスタート。様々な経験を経て、現在は、Chat Suppoert Baseの立ち上げに携わっている。

池田さん:Chat Support Baseについてお話しする前に、ヤフー株式会社のことを説明させていただきたいと思います。ヤフーは、インターネットポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を運営している会社ですヤフーは、新しいサービスを始める時に一気に相当数の雇用を創出してきたんですね。それってものすごいことをやっているなと。 国の根幹って、ちゃんと事業を作って人が働いて税金を納めて、それをまた新たな教育だったり国の活動に繋げていく、それを創造するきっかけってやっぱり事業なんですよね。 その体力がある会社に所属できているってチャンスなんじゃないかと思って、僕はものすごいことはできないけど、ヤフーの看板を借りてなら何かできる気がして、そこから拠点作りに携わる仕事をするようになりました。
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Chat Support Baseのオフィスが入居する、那覇市の「カフーナ旭橋」。

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琉球インタラクティブ株式会社 取締役CMO JOBANTENNA事業部 部長 金城 一平(きんじょう いっぺい)同社にてこれまで様々な事業の立ち上げを経験。現在は沖縄の求人・転職サイト JOBANTENNAの事業責任者として事業の急成長を担っている。

金城:一番最初に携わった拠点はどこですか? 池田さん:大阪でした。僕の地元ですね。大阪にすでに事務所があったんですが、当時 ヤフーは規模が小さかったので、色んな部署がそれぞれでやってたんです。 人と人って掛け合わせで発想やビジネスができたりするので、(それぞれで活動するだけでは)もったいないなと、大阪のいわゆる「支社」というものを作ろうと上席の人たちが言い出して、それに携わりました。 その後、名古屋や福岡、札幌、北九州、八戸などの企画に携わり、それぞれで雇用した人たちは、1,000人を超えると思います。地元のパートナー会社の人たちを含めると、もっと多いと思います。  

沖縄のカスタマーサポートの新たな拠点、「Chat Support Base」とは

金城:沖縄で立ち上げた「Chat Support Base」について、簡単にご説明いただいてもよろしいですか? 池田さん:名前の通りチャットに特化した、カスタマーサポートを強化するため、戦略的に作った会社です。 インターネットサービスはチャットとの親和性が高く、リアルタイムにユーザーの課題を解決することができる強力なチャネルです。 また、技術の進化により、AIによるチャット(チャットボット)も実用化されてきました。 ヤフーでは現在メールサポートが主なチャネルですが、今後チャットサポートにも力を入れていきたいと考えています。 ヤフーがこれまでに培ってきたメールでのテキストコミュニケーションのノウハウと、サイバーエージェントさんが有しているチャットボットの技術を掛け合わせる場がChat Support Baseです。
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オフィスには、チャットでお問い合わせに対応する音が響きます。

金城:サイバーエージェントさんと共同出資したがゆえの、色んなDNAを受け継いでいるかと思うんですが…サイバーエージェントさんはカスタマーサポートというよりは広告営業の会社のイメージでした。 池田さん:彼らは、広告の運用で培ってきたノウハウを、チャットボットという一見畑違いと思われるプロダクトに上手に活かしています。 「いかにクリックされるか」と同じ視点でカスタマーサポートをするので、どういう意図をもって一言を発しているか、これによって次は何を求められているのかなど、因果関係をちゃんと分析したり、何がどう影響したとかそういうところを追求して最適化していく。 アクションが起きなかったらチューニングしていくんですよね。「じゃあ言い方を変えてみよう」とか「文章を短くしたらどうかな」とか。 僕らは、「これって日本語として間違っているよね」みたいな、お客様に失礼のないように…という視点でカスタマーサポートに取り組んでいるので、全く違うDNAですよね。 目指しているゴールは一緒なので、サイバーエージェントとヤフーのDNAを掛け合わせれば、僕らが今までできなかったこと、突破できなかった壁を超えていくことができるんじゃないかと。

AIが発達するからこそ、「人による対応」の価値は上がっていく?

金城:Chat Support Baseのお仕事で、AI はどこに活かされているんですか? 池田さん:僕らの課題感からお伝えすると、カスタマーサポートって今まで、人が電話を取ったり、人が対応することが基本的な事業の形としてあったわけですよね。 問い合わせって、多くのものは検索で答えが探せるもの。一方で、アンサーがあるから「速く」、速さが求められる、そこは機械がものすごく得意な領域なんです。大量にあるデータベースの中から判断して、最適解を秒で返せる時代になってきたわけですね。
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課題感をかみしめる表情の池田さん

池田さん:でも、困っている人に対して、機械は「解を出す」ことはできるけど「寄り添う」ことはできない。いろんなものをちゃんと心情理解する、お客様が言葉にしていない情報を読み取ったりだとか、引き出してあげるというのは人の方が長けています。
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人とAIの役割分担について語ります

金城:究極、5人でやっていた仕事が、AIを使ったチャットボットによって効率化されて1人でもこなせるということですかね? 池田さん:効率化というとちょっと違って…僕らが言っているのは、「機械の進化と人の深化」。 解決すべき課題がはっきりしていないものは、人が寄り添って、解決すべき本当の課題は何なのか?ユーザーが求めるものは何かのか?を見極める必要があります。 表面的な課題だけを捉えて一般的な解決方法を示すのではなく、もっとユーザーの感情の深いところまで寄り添い、課題解決をサポートしていきたい。ここは機械ではなく、感情を有する人だから生み出せる価値(共感)だと思います。 そういう、人にしかできないことに、限られた戦力を投下していきたい。 金城:人がやるべきところにより密度を作って、全体的に顧客満足度を上げていけるということですね。   9  

この島には、耕された畑がある。沖縄のカスタマーセンターの可能性

金城:そもそもなぜ、沖縄拠点なのでしょうか? 池田さん:沖縄って、日本でもトップクラスでコールセンター従事者が多いんですよね。すでにコールセンターの経験がある人たちがいる、僕らがこれからやりたいと思っていることについて、チャレンジできる素養を持っている人が多いなと思っています。 僕らが何にチャレンジしたいかというと、二つあるんですけど、一つはチャットボットを始めとした新しいカスタマーサポートの導入。もう一つは、チャット人財の育成です。
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平成27年1月時点のデータでは、沖縄のコールセンター従事者は17,049人(※)。現在はもっと増えているのでは。

池田さん:今まで、コールセンターなどでカスタマーサポートをやってきた人たちって、何千、何万件と顧客対応してきて、顧客対応の流れというか、コツみたいなものが、彼ら一人一人の中にちゃんとノウハウとしてあるんです。 ノウハウって経験から得られる知的財産で。そのノウハウはチャットボットの設計に活かすことができるんです 金城:沖縄でカスタマーサポートの経験がある人がたくさんいて、ノウハウを持っているということが可能性として感じられているんですね。  

キャリアを変える、ものすごい経験値が咲かせる「花」

池田さん:何をするにしても、人の成長においてもそう思っているんですけど、畑、タネ、水に例えて考えると分かりやすいと思います。畑をちゃんと耕しておかないと、そこにどんなタネを植えても芽は出ないし、畑に対してどんなタネを植えて、どういう風に育てて、最終的にどんな花を咲かせるか、実らせるか…。
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今の沖縄とその可能性を分かりやすく土壌と花に例えて話す池田さん。

池田さん:畑を一から耕すって大変なんですけど、すごくいい土壌に対して、面白いタネを植えると、今までなかった花が咲くかもしれない。 カスタマーサポートって軸で見たときに、沖縄県には約2万人の従事者がいる、ものすごい経験値を持った方がたくさんいらっしゃるんですよ。つまり、沖縄にはすごく良い土壌がすでにあるんです。なので、ここに対して、僕らが新しい可能性を示していけば、なんていうのかな…。 金城:これまでとはまた違った新種の花が咲くというか、実がなる可能性がある…?
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「今までなかった花」の可能性を熱弁される池田さん。

池田さん:チャットボットを“設計”できるような人材が出てくると思うんです。 それって一つの技術職で、技能になると思うんですよね。現在、どの企業もチャットボットの必要性を感じており、将来的には、音声対応の自動化にもその技術が転用できるので、すごく市場価値が上がっていくと思います。 チャットボットの設計をする人財を僕らは、「コミュニケーションデザイナー」と呼んでいるのですが、これは新しい職種として今後価値を付けていきたいです。 金城:キャリアパスが変わってくるんですね。  

いま個人に問いたいのは、「それをチャンスととらえられるか」どうか

池田さん:今まで小さなピラミッドの中で上を目指していたのが、新しい技術ができて「自動化できますよ」って言える人には、どの業種においてもチャンスがあるんです。 一方で、すごくいい土壌なのに、彼ら自身が種をまくのは難しいんですね。僕には、彼らのような土壌はないんですけど、でも種を持っているんですよ。なので、その種を植えることはできます。 そうすれば、チャットボットを軸とした新しいキャリアが生まれてくる。だって約2万人もいるわけですよ。 金城:コミュニケーションが設計できる人ってことですもんね。 池田さん:それをカスタマーサポートをしていた人たちの新しいキャリアパスにできるって、日本中どこ探してもなくて、そのチャンスが沖縄にある。その人たちは、必ず企業から重宝されます。うちも採用したいですもん。  

土壌に水をやる、チャットボット設計の資格を作りたい

金城:チャットボット設計の「資格」を作りたいとも伺いました。 池田さん:その分野に長けている方々から見ると稚拙な考えかもしれないんですけど、例えばこの土壌でいろんな芽が出てきたときに、これって人によって差があるんですよね。 例えば、「絵を描ます」と言っても、クオリティには差がある。その質、経験の質や技術の質、アウトプットの質をちゃんと真っ当に評価できる仕組みを作っておかないと、結果として安く叩かれるなと思うんです。 13 池田さん:資格のある方って、持っているだけで何ができるのか分かるじゃないですか。 カスタマーサポートがなかなか評価されないのは、資格がありはするんですけど、それがどれだけの価値があるか分からないから。ちゃんと、できる人はできる評価を、採用する側はできる人なら高いお給料をお支払いして迎え入れたい、でもアウトプット、スキルの差が全然わからない。 評価基準を作れると、雇用の質も変わりますし、所得も変わってきますよね。 自分の現在地がわかれば、どういった経験をすれば、次のレベルの市場価値を目指せるかな、というのが分かる。機会は平等ですから、ご自身が努力して、行動していけば、それなりにちゃんと認められる、植えた種をどう育てるか、水やりの方法の一つだと思っています。 14 金城:これまで、その発想が全然なかったなって。県内の約2万人にこういうチャンスがあるのは可能性しかないなと思いました。  

会社は人を育てるところ。その中で、自分の価値とどう向き合うか

池田さん:どの会社さんもそうだと思うんですけど、採用している人たちを生涯うちで囲い込もうと思っているわけではないんです。チャレンジしたいことができればチャレンジを応援したいと思っていますし。 ただし、これだけは責任を持ってやりたいなと思っているのが、ここで身についたもの、得た経験が、私の人生において役に立ちましたと言ってもらえるようにしたいですね。それが企業の役割だと思っています。 会社は人を育てるところ。資格を作りたいのは僕らのためでもあって、ちゃんと市場価値をつけた状態で、うちに所属してくれている、次の新しいチャレンジをできる、そういう人材をどんどんどんどん輩出していきたいです。 金城:すごく素敵な考え方ですね。お話を聞くと、沖縄のカスタマーサポートの文化というか、畑がアップデートされるんじゃないかと思いました。 15 池田さん:そうですね、変えていけるチャンスだと思いますね。それをチャンスと捉えられかどうかは、個人に問いたいです。絶対みんな、もっとお給料をあげていきたいし、もっと自分の生活を豊かにしたいと思うんですよね。でも、今のままでは今のままなんです。 自分の価値をどう付けていくかを考えないと、今の社会の価値観の中では、望んでいるところに行けないんです。せっかくいい畑なんですけど、「いい畑」と思うか思わないかは自分次第ですよね。昔、一人だけ出会ったんですけど、自分の売りは「今までカスタマーサポートで対応したのは何千人以上で、飛行機でいうと、パイロットが何万キロ操縦したのと同じです」って。 たくさんの人の対応をしてきて、多種多様な対応ができるということじゃないですか。それって自分の価値をものすごく理解している
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池田さんが笑顔で語る未来は、明るい

池田さん:今まで自分が経てきた経験を、どういった価値にするか、「コールセンターしかできない」っていう人と、「この経験って、コミュニケーションデザインに活かせるかも」って思う人で変わってくる。 僕がこれから出会う人たちには、自分の経験を価値に変換していくのを常に考えてもらいたいなと思います。 金城:最後に、沖縄のJOBANTENNA PICKSを読んでいる皆さんに一言いただけますか? 池田さん:「どうせやるなら楽しくやりたい」。辛いことは…辛いですよ(笑)。楽しいことだったら、辛いことも価値変換できるんです。やりたいことがあれば、志を同じくする仲間と一緒にできるって楽しいことだと思います。  
コールセンターの価値観を根底から変えていくChat Support Base。 彼らが創るこれからの未来に目が離せない。

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