INTERVIEW 「ビジネスマンは体が資本」 と語る沖縄赤十字病院の院長先生に、病院の特徴から沖縄の未来まであれこれ聞いてみた!

2019年07月18日
1 那覇市に所在し、27の診療科を有する沖縄赤十字病院。地域医療支援病院として県からの承認を受け、「地域医療連携室 ゆいねっと」を設置するなど、地域完結型医療を実現させるべく県内の医療機関と県民の健康を支える総合病院である。 また、県民の健康を支える一方で“赤十字社”としての使命である災害救護・国際援助・洋上救急にも力を注いでおり、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震においては、災害救急として沖縄から救護班を派遣し、医療の面から復興を後押しした。特に、洋上救急においては国内で3番目の医師派遣数を誇り、表彰を受けるなど、多方面から私たちの暮らしを支えている。 JOBANTENNA PICKSを読んでいるビジネスパーソンにとっても、健康は何よりの資本。そこで編集部が、医療の最前線を知り日々県民の健康を支える沖縄赤十字病院 大嶺 靖院長に色々とお話を伺ってみた。  

「医療」と「救護」を軸に、県民の毎日を支える総合病院

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大嶺 靖 氏 – 1982年千葉大学医学部卒業後、1982年沖縄県立中部病院で研修医として研鑽を積む。1994年沖縄赤十字病院に外科部長として入職後、要職を経て2018年に病院長に就任。沖縄県民の健康を支える病院の一角として、周産期医療、がん診療、てんかん診療の充実をはかるべく奮迅。 現在若手医師の教育にも力を入れており、先輩医師として患者さんの全身を診る総合的な診療の重要性を説いている。

ー多方面における活躍で県内の医療機関をリードしている貴院。貴院が大事にしていることは何ですか? まず前提として、当院は日本赤十字社のグループの1つなので、赤十字の方針である”博愛の心”をモットーとしています。その博愛の精神の元、「医療」と「救護」の2本柱を軸として様々な活動をしています。 「医療」の領域において総合病院の役割は、「地域医療支援病院」という側面を求められるようになってきました。実は、沖縄の医療や病院のあり方は昔と比べてだいぶ変わったんです。昔は患者さんと病院の関係って、患者さん1人につき1人のお医者さんだった。しかし、医療制度の変化や病気の多様化に伴い、現代では診療所と病院の役割分担が必要不可欠になった。 病院が診療所と医療連携することで、「2人目のかかりつけ医」として県民の方々の健康を守ることができるし、同時に沖縄の医療機関を守っていくこともできる。どちらも、私たちの大事な使命だと感じています。
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「災害現場の負担にならないように」と、被災地の皆さんの心に寄り添ったケアもプロフェッショナルならではの心遣い。

ーもう一つの軸「救護」という面では、具体的にどのような活動をされていらっしゃるのですか? 災害救急医療と洋上救急ですね。近年では、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震の際に沖縄から救護班を派遣して医療面から復興支援をしたり、洋上救急では国内で3番目に多く医師を派遣していると表彰を頂いたこともあります。 救護班を沖縄県外へ派遣する時は必ず、救急車や現場で必要な生活物資などを準備して船で向かいます。必要な物や救護班が使うものなどはこちらで持参し、決して災害現場の負担にならないように意識しているんです。また、災害派遣の訓練やシミュレーションだけではなくて、県内での震災や生物化学兵器が使用されたテロなどを想定した訓練も定期的に行なっているんですよ。
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起こらない方が良いことだけど、だからといって備えないのは意味が違う。こうして私たちの知らない場所で安心と安全を守る人がいます。

ーえっ!テロ発生の訓練までするんですか!? はい。県内で何か起こった時は、当院が救護の現場の中心となります。その時に困らず、しっかり体制を組んで救護ができるよう訓練しています。職員一同、救護は我々の責任だという意識を持っています。 対策は大事ですよ。特に沖縄県は何か大きな災害があった時、相当な確率で孤立してしまうので…。例えば大きな地震があったときに「どこが水域高い地域だろう?」とか、「自宅から一番近い避難所はここ」とか、県民の方にはそういう小さい意識からでも良いので、是非持って頂きたいです。  

心身ともに健康であることが大事。若いビジネス世代にこそ、体を大切にして欲しい

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気づいたら、「近場でも車!」「ちょっとお手軽なカップラーメン!」となってしまう編集部メンバーは大嶺院長の言葉にギクリ…

ー貴院では認知症講習会や緩和ケアだけでなく、新しい設備や手術方法なども積極的に導入されていらっしゃる印象があります。 どんな領域に力を入れていきたいか、施設基準が必要かなど、専門のドクターから定期的に意見を聞いたり、相談しながら進めています。 数年前に脳外科のドクターより「てんかんの診療に力を入れていきたい」という打診があり、現在では県で唯一てんかん拠点病院の指定を受けるまでになりました。その他にも肥満手術を導入し肥満外科外来も開設を果たすなど、積極的に設備増設やスキル向上を図っています。 ー治療だけではなく、高齢化に向けた認知症への講習会や緩和ケアの取り組みも多くお見受けしますが、沖縄でも高齢化への対策が必要だと感じていますか? はい。沖縄県では他県と比べて少子化や人口減少があまり取り沙汰されてはいませんが、県内でも高齢化はどんどん進んでいます。 人生100年時代と言われている今。長寿化に伴って、がんや循環器系の疾患、骨折なども比例して増加していきます。がんにおいては、治癒に至らない患者さんが少なからずいます。その後継続して診ていくための緩和ケアもますます必要になると思うんです。当地では”急性期病院で緩和ケア”というイメージはあまりないかもしれませんが、全国的には珍しいことではありません。自分の生活している地元、また近いところで治療を続ける。緩和ケアも例外ではないと考えます。 ー沖縄県は「長寿の国」としても有名なイメージですよね。 そうなんですが…実は今、沖縄県の方々の健康寿命が下がってきているんです。このJOBANTENA PICKSの読者さんを含み、県内の若い世代にとっても関係ない話ではありません。忙しい20代、30代の頃から食生活を改めたり、車ではなく歩いてみたりと、是非今の習慣を見直していただきたいと感じています。  

今ある仕事が明日あるとは限らない。だからこそ、視線をあげてフレキシブルに

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「意見を言うということは、対峙するのではなく、『相手に自分を知ってもらう』ということ。」意見を言うことが億劫になってしまう時はこの言葉を思い出したい。

ーところで話は変わるのですが、院長先生からみた沖縄の未来は、どのように写っているのでしょうか? AIなどの技術進化も含めて、世界はどんどん変化しています。最近は沖縄県内でも海外の方が増えています。多国籍になり、言語や文化も様々なものが混ざり合ってきます。自分の立ち位置を常に考える必要があると思います。 ―そんな変化の中で、若い方はこれから何を意識していけば良いのでしょうか? 「今までこうだったから、こうでしょ」という考えではなく、ずっと変わらない大事な部分は残して、変化の自由度を高めてやっていくのが良いと思います。まずは物怖じしないで、自分の考えを一つ言ってみて欲しいですね。 意見を言うということは、対峙するのではなく、『相手に自分を知ってもらう』ということ。色んな文化、色んな考え方、色んな人が一緒にいる時代になります。そうなると、意見を言わないと分かってもらえないですよね。相手の意見を聞いて新しい発見もあるかもしれない。だからこそ、明日からぜひ、自分の考えを伝えることや、新しい挑戦を何か一つでもいいので初めてみて欲しいと思います。
医療や救護の最前線にいらっしゃる大嶺院長。 お会いする前は、「どんな方かなぁ」とドキドキしていましたが、とても柔らかくお話しされる、優しい笑顔が印象的な方でした。 編集部メンバーはインタビュー後、運動時間を増やし健康寿命を伸ばそう!と決意しジムに通い始めました。 いざという時の災害に備えての一歩。 日々の健康を守るための一歩。 自分と沖縄の未来のための一歩。 どんな一歩でもかまいません。明日から新しい取り組みを一つ、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。   ▼沖縄赤十字病院HPはこちら 1

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