INTERVIEW 沖縄から世界へ。第一精工 56年の知識と経験から沖縄の製造業をアップデート

2019年07月11日
%e6%9c%80%e5%88%9d 日本の高度成長期を支えた製造業。中国や東南アジアの台頭が著しい今日も、世界に通用する“ジャパンブランド”を守り続けているグローバル企業が、「第一精工株式会社」だ。2019年5月に子会社「アイペックスグローバルオペレーションズ」を豊見城市に設立。また、2020年1月には沖縄県内初の精密プレス金型製作工場をうるま市に操業することが決定している。今回は、アイペックスグローバルオペレーションズの代表取締役を務める西山朋宏氏に、「沖縄の製造業のこれから」をテーマに、お話をお伺いした。  

「精密かつ完璧なものづくり」にこだわり、日本を牽引してきた第一精工

―日本と言えば、製造業。そんな歴史を牽引された一社として、御社の強みを教えてください。 圧倒的な“超精密金型加工技術”を基に、製品開発から設備製作・生産ラインまで一貫して自社で企画から製作まで行い、最適地での量産にて品質・納期を守って提供できる。いずれのフェーズでも“妥協を許さない総合力”が第一精工の強みだと捉えています。 同じような精密部品加工技術を研究開発するという目的だけなら、研究所や大学でも担えると思うんだけど、大事なのはその技術を量産する力。研究開発だけじゃだめだよね。品質と納期とコストは必ずついてくるし、周りの期待に対して応えられるだけのスキルを有していることがうちの強みですね。   ―第一精工といえば「精密かつ完璧なものづくり」というポリシーが印象的ですよね。 そうですね。ただ、「精密かつ完璧であれば良い」とは決して思っていません。基本、技術者はヲタク気質な人が多くて(笑)「自分のできる最高スペックをさらに尖らせたい」「デザインをもっとこうしたい」みたいなことを考えていることが多いんだけど、そうした常に新しい技術や製品にチャレンジする開発や設備製造部門の技術者が、うちは比率的に多いと思います。 ただ、それはあくまでもお客様のため。世の中で求められているものと自分たちが開発したい物がリンクしないと。要はマーケティングの法則ですよね。基本はマーケティングの中で、今どういうスペックのパソコン、携帯電話、自動車部品が求められているのかを調査し、そのニーズに基づいて各メーカーさんと一緒に製品を企画する。そこに第一精工として「どうしたら安くて良い部品を提供できるか」を命題にとにかく考えるんですよ。  
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イメージに捉われすぎていないか、を反芻することが大事。「バックグラウンドが違うだけだからその土地に合わせてモチベートするだけだよ!」と。それがかなり難しそうです…!(編集部心の声)

―1979年のシンガポール工場設立を皮切りに、グローバル展開を推進されてきた御社。現在、感じている問題はありますか。 東南アジアの人件費の高騰と、グローカリゼーションが問題ですね。 一点目の東南アジアの人件費高騰については、日本が辿ってきた歴史を考えると、まさに今のようなタイミングで徐々に人件費が高騰してきた過去があります。今までは人件費の安さで利点があった東南アジアの製造業ですが、すでに、10年前と比べて賃金が倍以上に膨れ上がっている地域もあるんです。個性のある製品や技術を、効率的に製造する土台づくりなど、世界を相手に戦う準備が必要ですよね。 また、二点目に掲げたグローカリゼーションの問題ですね。グローバル展開が進んでいくと、例えば、「自社の技術が盗まれるんじゃないか」だったり、「現地の人の特性的に良い品質の物が作れないんじゃないか」みたいなことを思いがち。だけど、たとえマネをされても良い物を作っていたら市場に選ばれるし、現地の人のスキルに対することはほとんどが思い込みなんですよ。   ーそのような問題に対して、どのような課題意識を持たれていますか? 特に後者に関しては、政治の話であって経済の話ではないんですよ。大事なことは、頑張るための人事制度なのか、仕組みなのか、文化や考え方が違う現地の彼らが働きたいと思える環境を現地に近い発想でつくること。日本人が責任者で現地赴任するのではなく、現地の歴史や文化を理解したローカルスタッフが先頭に立って運営できる組織が理想になってくるでしょうね。  

グローバル展開を進めるなら、沖縄進出はマストだった!?

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「シンプルに沖縄は、国内・国際線合わせるとかなりの数のフライトがある。弊社の中国や東南アジア地区への移動も短時間で可能となるため、交流も容易になる。」その他にも多くの理由が!

―グローバル展開の潮流の中で、沖縄に今回着目した理由はどういったところにあるのでしょうか? 沖縄に拠点を置かない理由がなかったから、ですね。上海駐在時代に沖縄県人会に参加する機会があり、各業界で活躍されていらっしゃる方々とお知り合いになれました。そんなご縁で早くから沖縄を身近に感じ、他地方にはないチームワークの良さを感じていました。 沖縄は歴史的に交易で栄えた場所です。異文化を理解し、受け入れた結果として今日の繁栄がある。今、私たちが求めるグローカリゼーションな組織づくりに最適だと考え始めたことがきっかけです。   ー沖縄に拠点を置かない理由がなかったから(!)住んでいる者としては嬉しいですね! データを列挙してみてもやっぱり、拠点を置かない理由はないですね(笑) 私自身、所縁があったことはもちろんですが、データで見ても素晴らしい所ですよ。物理的には那覇空港の拡張計画、製造業に対する国や県からのサポート体制。人口当たり若年層の比率、英語検定の合格率など全国トップクラスの水準なんです。BCP(Business continuity planning:事業継続計画)には欠かせない“地震が少ない”、“原発がない”などの安全要素も備えています。  

まだ強くなれる沖縄の製造業、ポテンシャルは未知数である

ー沖縄において、製造業よりはサービス業などの第三次産業が優勢なイメージがありますが… 第三次産業はやはり強いですね。でも、沖縄の農産物や水産加工品は、特色のある製品が生まれていると思います。 それに、“MADE IN OKINAWA”で売れますよ!アジアの国々を巡っていても、「沖縄」「琉球」には鮮明なイメージを持っている人が多い。名前が売れる、名前がブランドになっているという、強み・核もあるじゃないですか。 ただ、沖縄県内だけの情報や技術に頼っていて、効率の良い生産ができていない現場を見かけることもありますね。機械化・自動化も購入後のアフターサービスを懸念して導入に躊躇されることもあるだろうし、「投資効果を見据えた次世代への投資が大事」と頭では分かっていても、会社規模の大小によっては設備投資できる限界はあると思いますね。   ―では、沖縄の製造業がこれからさらに成長していくためにはどうしたら良いでしょうか。 井の中の蛙になってはいかん!と思います。外も見ながら自分たちの製品の優位性をはっきり出していかないといけないでしょうね。物にもよるとは思うんだけど…沖縄にいて、沖縄の中で、今まではやれていたかもしれない。だけど、グローバル展開を考えたり、外の世界と繋がろうとした瞬間に、これだけインターネットによる情報化社会が発達していると、急激に情報の波に飲み込まれてしまうんですよ。 その波に飲み込まれた結果、せっかく素敵な製品があっても辞めちゃった(=倒産した)企業さんも見てきたんです。なんで?と思います。もったいないよね!なくすっていうのが一番もったいないんだよね。今のレベルは低いかもしれないけど、勉強して、レベルアップしたら継続できる。むしろ、さらにできることの幅が増えるチャンスだったりするんだよね。 学び方を知らない。何か困っている。製造業の企業さんに、第一精工が56年の歴史で培った技術・管理・グローバル展開などの経験値を沖縄で共有できたらと思っています。  

もったいないをなくして、沖縄県における製造業の可能性を最大化したい

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まだ始まったばかり。だけど、「自分たちが持っているナレッジや経験値はどんどん還元していきたい」と語る。

―沖縄の製造業を支えてもっと強く。そんな想いを胸にした、第一歩のチャレンジを教えてください。 どんどんうちだけ大きくなってもやりきれないよね。成り立たない。県内企業全体で上がっていかないといけないと思っています。産業って面白いことに繋がっているんですよね。うちは精密金型を作っているけど、これがお菓子になったり、水産加工品になったりするだけ。製造する物が変わるとプロセスが変わったりするけど、基本的に、入り口は営業や企画に始まって、出口は配送してお客様に届けるでしょ。考え方は一緒だったりするから、きっと貢献できるところがあると思っています。 元々の設立目的でもあった、海外のマネジメント機能としての事業展開を軸にしながらもアイペックスグローバルオペレーションズが主体となって、県内企業のグローバル化や活性化に寄与していけたら、こんなに嬉しいことはないよね。だって、良い物があるのにもったいないじゃない? まずは、少しずつ県内企業さんのご相談に乗って、うちがご提供できる物を模索しながら進み始めています。   ―素敵なお話をありがとうございます。最後に、読者の皆様にメッセージをお願いします! 沖縄県内でずっと過ごしてきた方は、一度外の世界を見てみるのも良いと思っています。本土も良いし海外も良いでしょう。自分たちが見たことのない世界で挑戦することで、人間力が磨かれて、最終的に沖縄のためになることを実行できる人材になれるんじゃないかな。 当社ではそうしたチャンスに溢れていると思っています。宗教や文化、習慣は違ってもお互いを理解し、同じ目標へと向かって進もうと前向きに考えてくださる方は、ぜひジョインしてください。
日本の製造業の歴史を作り、牽引してきた第一精工。 そんな日本を代表する老舗企業の新しいチャレンジをここ、沖縄から見届けることができる。 そして、見届けるだけではなく、新たな歴史をつくる一員になるチャンスまである。 さらに強い沖縄を、自らの手で実現したい方には最高のポジションではないだろうか。   ▼アイペックスグローバルオペレーションズ株式会社の求人はこちら ffdc42f28bc72be32eefe2d1bf2cd8ce_4fc40fe887e9416bf7e830133c9f95bd

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