INTERVIEW 沖縄から世界に挑む養鶏家のストーリー「みやぎ農園」代表取締役社長 小田 哲也

2018年09月20日
沖縄県の南城市にある「みやぎ農園」は、薬品を使わずに鶏の生命力を生かした平飼い飼育による卵の生産を行なっています。また卵や野菜だけでなく、もうすぐ海外進出も果たそうとしています。みやぎ農園の2代目社長を任されている小田哲也さんにお話をお伺いしてきました。
%e3%81%bf%e3%82%84%e3%81%8d%e3%82%99%e8%be%b2%e5%9c%92%e3%80%80%e5%b0%8f%e7%94%b0%e7%a4%be%e9%95%b7 ―まずは「みやぎ農園」についてお伺いしてもよろしいでしょうか? はい、先代(現会長)の宮城が養鶏を始めて30年になります。食品の加工については15年前から始めました。そして野菜の栽培は10年前からです。野菜については自社農場(パイロットファーム)もありますが、主に近隣の農家さんと契約をしてアドバイスをしたりしながら栽培をしてもらって、その野菜の販路を私たちが確保しています。平成20年に法人化して、株式会社として経営を行っています。 ―小田さん、というお名前から察するに、どちらのご出身でいらっしゃいますか? 海なし県である滋賀県の出身です。高校を卒業するまでは滋賀にいました。大学からは千葉県に行って園芸学部を出ています。 謙遜される小田社長にどんどん聞いていったところ、植物の研究職として大学院までそのまま進まれて研究をされていたそうです。世界の食料危機を救える可能性がある非常にスケール感のある研究をされていましたが「食べ物が安全であるかどうかが重要だと思って」また研究だけでなく現場でより畑に近いところで実際に働いてみたいという熱が高まり、大学院卒業後はドイツに渡り1年間の農業研修に行かれました。 %e3%81%bf%e3%82%84%e3%81%8d%e3%82%99%e8%be%b2%e5%9c%92%e3%80%80%e3%83%88%e3%82%99%e3%82%a4%e3%83%84%e9%a2%a8%e6%99%af 日本国内で受けられる農業研修は、そのままその土地で就農することが条件になっていることが多かったので、国際農業者交流協会の制度を利用。 アメリカ・ドイツ・オランダ・スイス・デンマークの5カ国から渡航先は選べましたが、超大規模な農業は日本で活かすことが難しいから却下。複合的な農業に興味があるから、オランダも違う。スイスは小規模な家族経営が多い。そんな中ドイツは、一人がなんでもやるというのではなくグループで成り立っている・コミュニティーとして分業しているところに関心を持ち、ドイツに行くことに。 ドイツで研修に入った農場は、スタッフが50人ほどいる巨大で広大な畑でした。(それでもアメリカの「超巨大」という規模ではありません) 卸市場での販売もやらせてもらい、ドイツの市場についても学んで来ました。一般的に大規模農業というと農薬をたくさん使って、使い捨ての容器で、というイメージを持ちますが、ドイツの農場にはダンボールが一切なかったそうです。 農場から仕入れる業者さんも再利用可能な容器を使っていて、使った容器をまた次の仕入れの時に持って来てまた使うというサイクルが確立されていました。 %e3%81%bf%e3%82%84%e3%81%8d%e3%82%99%e8%be%b2%e5%9c%92%e3%80%80%e3%83%88%e3%82%99%e3%82%a4%e3%83%84%e9%87%8e%e8%8f%9c そして何よりも一番勉強になった部分は、いろんな人たちと一緒になって働くということだったそうです。 ヨーロッパ・ドイツという土地柄、東ヨーロッパの労働者など背景の異なる人たちが集まって一緒に働くという環境。年齢も20代前後から50代くらいまでと幅広く、また話す言葉も英語だったりドイツ語だったりそれぞれが違う母国語の中、なんとか意思疎通しようと言葉が通じない中でのコミュニケーションなど、それぞれすべてが違う人たちと一緒に働くということが、なによりもかけがえのない体験だったそうです。 そんなドイツでの1年間ですっかり鍛えられた小田社長は、帰国後沖縄に移住してきました。 %e3%81%bf%e3%82%84%e3%81%8d%e3%82%99%e8%be%b2%e5%9c%92%e3%80%80%e3%81%ab%e3%82%8f%e3%81%a8%e3%82%8a ―ドイツから沖縄にいらっしゃったのは・・・? 同じ農業研修に同期として行っていて知り合ったのが、みやぎ農園の現会長の娘で現在の妻です。 妻はスイスの畜産の有機農法をやっているところへ1年間行って、ドイツとスイスで励まし合ったりしているうちに仲良くなり、帰国のタイミングが同じでした。「お父さんのやり方をそのまま踏襲するだけでなく新しいことを学びたい!」とスイスへ行った妻でしたが、沖縄と違う考え方に触れて、勉強をして、そしてお父さんのやり方が良いんだと再認識したそうです。 妻は研修のあとは沖縄に帰ってきて養鶏することが決まっていて、僕はどこの土地で農業を始めるか決めていない位自由な立場だったので、一緒に沖縄に来ることにしました。  

そして、養鶏の世界へ。

みやぎ農園では、創業者である宮城会長が研究に研究を重ねたこだわりの「平飼い」でたまごを採っています。 国内の平均的な養鶏場での飼育羽数は、57,900羽のところをみやぎ農園では、なんと11,000羽と圧倒的に少ない羽数で飼育を行なっています。 それが、にわとりをケージに入れないみやぎ農園こだわりの「平飼い」なんです。 微生物資材を活用し、自由に動ける環境で飼育することで、臭みが抑えられたより美味しいたまごを産めるようになるそうです。またにわとりの餌は、自家配合飼料。にわとりが好んで食べるものを観察して、自分たちで発酵飼料や生の刈りたての青草も入れて配合して作っています。 %e3%81%bf%e3%82%84%e3%81%8d%e3%82%99%e8%be%b2%e5%9c%92%e3%80%80%e3%81%9f%e3%81%be%e3%81%93%e3%82%99 この「平飼い」と微生物資材を使った飼育の強みは、特別な資材や飼料・手間が不必要であるということ。糞や食べ残しの掃除の必要がなく、良質な微生物で発酵させ森の腐葉土のような鶏糞になり、また無駄な労働を省くことができるようになりました。さらに小田社長が学生時代から研究してきたことも生かされています。 消毒や抗生剤などは一切使っていないことも、みやぎ農園が自信を持っているポイントです。 サルモネラ菌などの悪玉菌を消毒で殺すことなく、土着菌や微生物資材により制御できていて、自然なバランスが保たれ、悪玉菌が暴れない環境を保てています。 そんな平飼いのたまごは評判を呼び、今では県内で「みやぎ農園さんのたまごは違う」と出荷してもすぐに売り切れる人気ブランドたまごとなりました。 そして、たまごだけでなく、農業支援にも力を入れています。 微生物と鶏糞を活用した農業グループを立ち上げ、勉強とつながりの場を作っています。 契約農家さんへ微生物資材と鶏糞を廉価で配布し、経費を低く抑えた循環型農業を広げることに力を入れています。また量販店の支援のもと、県内での新たな作物の産地づくりの活動にも取り組み、例えば西表島でじゃがいもの生産を始めています。 %e3%81%bf%e3%82%84%e3%81%8d%e3%82%99%e8%be%b2%e5%9c%92%e3%80%80%e8%be%b2%e5%a0%b4 2020年の東京オリンピックも見据えて、GAPと呼ばれる農業生産工程管理(Good Agricultural Practice)の認証にも尽力しています。 このGAPを取得していないとオリンピックで使ってもらうところに農作物を出荷できないと言われています。 沖縄県農林水産部と連携して、GAPへの取り組みを進めています。GAPに取り組むことで、食品の安全性の向上・経営改善と効率化・労働の安全確保・環境保全などの面に効果があります。 例えば大手飲食店では独自のGAPを設けていて、月に一度以上の水質検査や各種マニュアルの作成、記録用紙の作成などなど、農家さんが単体で取り組むには煩雑すぎてハードルが高いものもあるそうです。 その基準に達するためのお手伝いをみやぎ農園で行なっています。  

農業支援は沖縄を飛び出して世界へ。

%e3%81%bf%e3%82%84%e3%81%8d%e3%82%99%e8%be%b2%e5%9c%92%e3%80%80%e3%83%95%e3%82%99%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%83%b3 みやぎ農園の取り組みがすごいらしい、と人づてでブータンの人にまで評判が届きました。またブータンの農林省畜産局の方も沖縄までみやぎ農園の視察にいらしたそうです。 みやぎ農園の考え方と、物質的に満たされることを追求せず物事を選ぶ時に「これが人々を幸せにすることなのか?」という判断基準を持っているブータンの国としての考え方が似ていることことから、ブータンという国の農業をサポートしていくことになりました。 いよいよ実際にみやぎ農園からスタッフがブータンに渡航し、現地のサポートを行って行くという段階まで進んでいます。 %e3%81%bf%e3%82%84%e3%81%8d%e3%82%99%e8%be%b2%e5%9c%92%e3%80%80%e5%95%86%e5%93%81 まだまだ書ききれないほど様々な先進的な取り組みをしているみやぎ農園は、「毎日の暮らしにおいしさと幸せを」と非常にシンプルでも大切な熱い気持ちを持っています。 生産に携わる人・関わった農家さん・販売先・そしてお客さん、全ての人が幸せを感じられるようにしていきたい、という思いで小田さん始めみやぎ農園のみなさんはにわとりを育て、作物を作っています。 スーパーなどでの販売の他にも、フードイベントにも積極的に出店してBtoBだけでなくBtoCでお客さまと直接触れ合うことも大切にしています。 %e3%81%bf%e3%82%84%e3%81%8d%e3%82%99%e8%be%b2%e5%9c%92%e3%80%80%e9%9b%86%e5%90%88%e5%86%99%e7%9c%9f これからの活躍がますます楽しみなみやぎ農園と小田社長のストーリーでした。
みやぎ農園の総合職募集は、こちらのページからご確認いただけます。

関連記事

  • INTERVIEW 2019.07.18
    「ビジネスマンは体が資本」 と語る沖縄赤十字病院の院長先生に、病院の特徴から沖縄の未来まであれこれ聞いてみた!
  • INTERVIEW 2019.07.12
    「チーム結束力を高める」と今注目のビーチクリーンアップ活動。リサイクル事業を手がけるReOKが環境活動に取り組む理由とは?
  • INTERVIEW 2019.07.11
    沖縄から世界へ。第一精工 56年の知識と経験から沖縄の製造業をアップデート
  • INTERVIEW 2019.06.25
    沖縄移住・転職=積み上げること。看護師13年を経て、今は「沖縄の魅力を伝えたい」