CATALYST 電話の向こうの見えない笑顔のために|株式会社ディノス・セシールコミュニケーションズ 代表取締役社長 金城 健秀

2017年11月29日
コールセンターと聞くと何を思い浮かべるだろうか。「お客様からの問い合わせを受けて電話を取る」「クレームの対応」「商品の説明」。株式会社ディノス・セシールコミュニケーションズという企業には、従来のBPO産業の常識を覆すほどの仕組みが驚くほど豊富に用意されている。この仕組みを構築することができた背景には、他ならぬ金城健秀社長のアイデアと理念があった。お客様はもちろん、働く社員をも幸せにするBPO企業の実像に迫る。

カタリスト ディノス金城社長

カタログの注文さえ受けていればそれでいいという考えがずっとあったが、それだと働いている人が面白くない

従来のコールセンターの枠組みを超えて、オペレーターの主体性を引き出し、顧客満足度を高める施策や、優秀なオペレーターを定着させる取り組みに金城社長の手腕が伺える。 「当社の事業内容は主にインバウンド業務、アウトバウンド業務、人材派遣です。インバウンド業務は、カタログを見たお客様からの注文や問い合わせに対応するための業務です。それに対しアウトバウンド業務は、お客様へ電話をかけて、商品をおすすめするサービスとなっています。まず、インバウンド業務のオペレーションではカタログの注文さえ受けていればそれで良い、という文化があったのですが、それだと働いている人が面白くないと思い、ビジネス面でもプラスになり、電話を受けるスタッフがワクワクするようなことはないか、と考えました。たとえば、自ら営業に行って商材を模索する。沖縄なら“もずく”、香川県の高松なら“うどん”など、カタログの注文を受けた後に『少しお時間いただいてもよろしいですか?』という声がけを糸口に、自分たちで見つけてきた商品のご案内をする、そんなスキームを確立しました。当社ではそれを『クロスセールス』と呼んでいます。電話をかけてくださるお客様は購買意欲がある状況なので、そのお客様に対して少しだけ『ワクワクボタン』をくすぐりながら押してあげる。そうすると、想像を超えた反応を生むことがあるんです。目には見えないものをお薦めすることは、難易度も高いスキームではありますが、今ではその案内で購入経験のあるお客様から「今月は何がおすすめなの?」とご質問を頂くケースもでてきました。カタログに掲載されていない商品を、自分たちで見つけ、自分たちのトークでお客様の『ワクワクボタン』を押してあげることで、やりがい・楽しみが2倍になっています。現在は沖縄の県産品をどうにか県外に出したいという考えのもと、さまざまな県内企業とお話をさせて頂いております。と同時に沖縄という地の利を活かし、海外で売れている日本の商品などの問い合わせや注文を当社で受けるというようなこともできるかもしれないと今後は考えています。電話を通して何でも売ることができる環境は、ビジネスの幅が無限に広がるのでとても楽しいです。まるで、総合商社と同じような感覚で動けることがうれしいんです」 カタリスト ディノス金城社長2 ―コールセンターで人材派遣をしているというのは意外でした。 「コールセンターの業務は繁忙期と閑散期の波が大きいんです。会社としては本来、その波に合わせて人員コントロールをする方が無駄はありませんが、せっかく繁忙期に入社し、スキルをつけた優秀な社員を閑散期にリリースするのはナンセンスだと考えました。そこで当社の閑散時期に、人手が足りていない他のコールセンターやリゾートホテルなどの他業種に積極的に人材派遣を行っています。このように繁忙期は当社のコールセンター業務を、閑散期は多彩な仕事を経験してもらえることで優秀なスタッフを失うことなく、少しでも長く安心して働いてもらえる環境が整いました」  

採用の門を狭くすることは企業にとって何も得することがない

採用戦略は、金城社長の問題意識が色濃く反映されているポイントである。株式会社ディノス・セシールコミュニケーションズで働く人材の幅はとても広く、多様性にあふれている。高校生をオペレーターへ起用するなど、以前の常識では考えられなかったことに取り組んだ金城社長は業界に新しい変化をもたらした。 「沖縄県にコールセンター企業が誘致され始めた頃は方言やなまり、アクセントをより標準語に近づける研修に時間を費やしている企業が多々あったと聞いております。同時に、敬語や謙譲語の正しい使い方や語彙力を増やす為のトレーニング、そして何よりお客様との会話で最低限必要なビジネス用語に関しては、どのコールセンター企業も苦労されたと思います。そのような状況ですから、当然、社会経験の無い高校生がコールセンターで働くようなことはあり得ないことでした。でも当社では現在、70名を超える高校生がインバウンド業務やアウトバウンド業務に従事しています。昔と今で何が違うのかと言うと、実際には何も変わりません。ただ社会経験も無く、敬語・ビジネス用語が上手く使えない高校生が、コールセンターの仕事は無理だと言う先入観があっただけなんです。当社が高校生を積極的に採用しはじめたのは今から6年前ぐらいなのですが、優秀な高校生が働くチャンスを潰していたとしか思えませんね。その吸収力や理解力、柔軟性には驚くばかりです。実際に高校生が対応したお客様から、その対応についてお褒めの言葉をいただくこともあるんですよ。人材の幅という意味では高校1年生の15歳から上は75歳のスタッフが在籍しており、互いに刺激し合いながら即戦力として皆、働いている状況です」 カタリスト ディノス金城社長3 ―就業経験の浅い高校生を教育するカリキュラムには、どのようなものがあるのでしょうか? 「高校生用の特別なカリキュラムはありません。当初は、お客様との会話に必要な一般的な情報や敬語などの習得に多少時間を有するだろうと思っていたのですが、いざ実施してみると、座学研修のカリキュラムを特別に変えなくても全く問題がなかったんです。ただ高校生らに働いている以上、お客様との会話で幅を広げるため、新聞や雑誌などを読んで情報収集することを薦めているぐらいです。ただ注文を受け、商品をおすすめするのではなく、お客様に“電話をして良かった”と思って頂くことが一番重要ですから。そのためには高校生だけでなく、スタッフ全員が語彙力を高め、多くの情報を集める努力は必要だと考えています。前述しましたが、高校生の素直さ、習得のスピードと柔軟性には驚かさればかりです。実は高校生のアルバイトの子が月のトップセールスを上げたこともあるほどなんですよ」 ―成長の過程が見られることは、とてもやりがいのあることですね。 「私は毎年、高校生のアルバイトが学校を卒業する際に、皆と食事に行くことにしています。そこで、みんなからプレゼントを貰ったりもします。そんな時は本当にうれしくて、父親のような気持ちで皆の成長を感じますね。ほかにも“アルバイト代でお母さんにプレゼントを買ってあげたい”“自分で稼いで免許を取りたい”など、本当に真面目で素直な子たちばかり。そして段々と立派な社会人になっています。なかには、学校を卒業後にそのまま就職する子もいます。高校生だから無理だとか、できないということではなく、とにかくやる気があればお互いがwin-winの関係になれることを常に意識して、会社がサポートできることを考えています。採用の門を狭くしても、得することは何もありません。当社では“やる気”さえあれば誰にでも門は開かれています」 カタリスト ディノス金城社長4 ―幅広い年代の方の意見は、どうやって取り入れているのでしょうか? 「大勢いる社員の意見やモチベーションを一致させるための、画一的な手段はなかなかありません。そのため“みんなが幸せを感じるためには、どうすれば良いのか?”という考えを軸に、トップダウンではなく、いろいろな年代のスタッフやマネジメントメンバーの意見に耳を傾けるようにしています。すると『ああしたい、こうしたい』『これをやりたい』十人十色の意見が聞こえてきます。そのなかで『ぜひ、これをやらせてほしい』と皆の意見がまとまり、『じゃあ、やってみよう』と言える時は、本当に楽しくてワクワクしますね。会社のマネジメントは、社長だけが行うのではなく、同じ方向を見つめ、共に考え、行動してくれるメンバーが必要です。だからこそ、マネジメントに関わるメンバー育成については常に考えています。私はマネジメントメンバーとよく面談を行い、メンバー一人ひとりの自立性を促すように努めています。当社のスタッフが一人でも多く幸せを感じてくれるために、ここでずっと働きたいと思える会社を作るために、できることは何かということを、マネジメントに携わる全員で考えないといけないと思っています。仕事は他人や上司から言われてやるスタイルでは、楽しさや達成感が生まれないと思うんですよ。なのでマネジメントメンバーには、各々が同じ目標に向かいながらも、自分なりのやり方で目標に進めるようなマネジメントスタイルを持っていてほしいと思っています。そのためには、いつもスタッフやお客様の幸せになることを意識し、シーンに合った対応方法がいつも自分のポケットに入っていて、いつでもそれが取り出せるようにしておくことが重要だと考えています。日々のオペレーションやスタッフのモチベーション、収益やKPIの数字などを意識しながら仕事に取り組める人は本当に強い。マネジメントメンバーのみならず、社員にもそういうマインドであってほしい! と伝え続けています」  

1日でも当社に関わった人が何かしら幸せを感じられる環境を作りたい

金城社長の目は、常に社員に向いている。社員の幸せのためになると思うことがあれば何でも実行する。そのため、職場環境と福利厚生の充実度は圧倒的に高く、それが企業としての優位性にもなっている。社員のためであれば、託児所だって、学童だって作ってしまう。バレンンタインデーやハロウィン、クリスマスなどの行事は、会社として積極的に取り組む。大人も子どもも一緒になって楽しむことで、笑顔が広がる。 カタリスト ディノス金城社長5 「当然、会社の利益や成長は日々考えていますが、それと同じくらい当社に1日でも関わった人達が何かしら幸せを感じ、良かったと思ってもらえる環境を作りたいと思っています。育児中のスタッフが少しでも安心して働けるよう託児所や学童保育所も作りました。学童は当社社員以外のお子さんも預かっているので、毎日近隣の小学校に子どもたちをマイクロバスで迎えに行っています。ハロウィンやクリスマスなどのイベントは、託児所や学童の子どもたちも一緒に楽しんでいますよ。そうした取り組みを通して当社には下は0歳から小学生、そして高校・大学生、主婦、育児中のママ、といろいろな方が会社に関わってくれています。そして今年はさらにシニア層の方々にもどんどん当社に関わってもらいたいと思っています。その狙いは2つです。ひとつは、当社が若い年代が中心のため、社会経験値が不足しているスタッフも少なからずいます。そういうスタッフ達の良き手本になってもらいたいということ。この業界でのシニア層の活躍はきっと、いろいろな意味で意識改革を起こすと考えています。2つめは、リタイヤされていてもまだ働ける、働きたいと思っているシニア層のマンパワーを、ぜひこの業界で活かしてほしいと考えている点です。実際少数ではありますが札幌センターの70代スタッフが、トップセールスをあげているという例もあります。その方々の声は電話越しだと30代ぐらいにしか思えないほど若々しく聞こえるんです。高校生から70~80代までが一緒に働ける会社は楽しいと思いますね。私は日頃、チーム力という言葉をよく使います。お客様がさまざまいらっしゃるように、対応するスタッフ側もいろいろな年代のスタッフがいて、どんな対応もカバーし合える組織を作りたいと思っているんです」 カタリスト ディノス金城社長6 ―やり過ぎとも思える社員の満足度の追求はどこから生まれてくるのでしょうか。 「お客様や株主を満足させることは当然のことですが、社員の満足度が最もプライオリティが高いと考えています。それがないと、お客様と笑顔で会話をすることが難しくなると考えているからです。マネジメントメンバーには自立し、なお且つ数字も大切にしてほしいのですが、直接お客様に接するスタッフには、いつも笑顔で楽しく仕事をしてほしいと思っています。そのために私たちマネジメントメンバーはいつもスタッフへの声かけを忘れずに、スタッフが楽しく仕事ができるようにイベントやサプライズを企画し、実際に月1度のペースで何かしらのイベントを開催しています。もっと希望を言うと、各マネジメントメンバーには1時間に1回、スタッフを励まし“お疲れ様”と声をかけてもらいたい。そうするとスタッフも“頑張ろう”という気持ちに向かってくれると思うんです。スタッフのモチベーションは、お客様に直接関係してきます。顔は見えなくても、この人は笑顔で話してくれているということを感じていただけることが大切だと思っています。電話でのお仕事においては、それが全てです」  

キャリアアップを目指す野心家の心に、蓋をするようなことがあってはならない

金城社長の問題意識は自社だけにとどまらず、沖縄県全体に対して向けられたものでもある。人材育成に関する金城社長の思いは、株式会社ディノス・セシールコミュニケーションズのキャリアパスにもよく反映されている。今後の展望についても伺ってみた。 「沖縄は大勢の人をまとめるにあたって、県民性もあると思うのですがリーダーシップをとれる人材がとても少ないと感じています。リーダーシップを発揮して前に出ていく人材を育成したいという思いは、以前からありましたね。当社では、チームリーダー、スーパーバイザー、マネージャーという順で昇格するのですが、会社からの辞令ではなく公募型でやりたい人、自信がある人に手を挙げてもらって、それから試験・面接を経て選考しています。ただし、公募制ではありますが最低条件として、立候補者に対して周りのスタッフから『この人なら納得できる』『良かったね、あなたならできるよ』と言われるような信頼関係が築けていることを課していますが、基本的にキャリアアップへの門は開きっぱなしです。実際に若くしてマネージャーや部長を務めている社員もいます。この業界ではマネジメント層が本社から出向してくるケースも多いのですが、当社では基本的に地元で採用した人にマネジメントを任せたいと考えています。沖縄でも札幌でも高松でも、地元で頑張っている人のキャリアに蓋をするようなことはしたくありません。地元で採用された人たちが、どんどんキャリアアップしていける会社にしたいと考えています。私自身も、次に社長になれる人材が育ってくれればと思いながら、マネジメントメンバーの成長を楽しみにしています。またこれまでもほぼ毎年、新卒の学生を採用していますが、今年度も将来のマネジメント候補として沖縄で2名以上、札幌で1名を採用したいと思っています。現実問題として、コールセンター業はアルバイトや契約社員の職場としてのイメージが強く、大学生には不人気だと捉えていますが、そこにあえてチャレンジしたいと考えています」 カタリスト ディノス金城社長7 ―最後に未来の社員に向けて、ひと言お願いします。 「今、学生の皆さんには就職先の選択肢が多くあり、知名度や安定感で決めることもあると思いますが、当社にもぜひ目を向けてほしいです。自分の頑張り次第で、どんどんキャリアップできる環境です。また企業の歯車ではなく、きっとやりがいと達成感を味わえる会社です。初任給20万円、退職金あり、ボーナスもある正社員です。ぜひ一度、笑顔にあふれた会社を見に来てください」 社員の幸せや楽しいと思える環境を整えることに重きを置く。この企業で働いていたらきっと幸せになれると感じられれば、社員は自ずと会社に貢献したくなる。そしてスキルが身につき、優秀なテレコミュニケーターへと成長したスタッフは、お客様を満足させることができる。つまり、社員の幸せはお客様の幸せに直結するのである。常にみんなが楽しみ、ワクワクすること。お客様の心も、社員の心もがっちりと掴んで離さないこと。金城社長の温かい思いやりは、業界では驚異の離職率3%という結果として実を結んでいる。こんな会社なら、きっと幸せになれる。  
金城 健秀(きんじょう たけひで) 早稲田大学教育学部教育学科を卒業後、株式会社沖縄富士通システムエンジニアリングに入社。その後、アメリカンホーム保険会社(現アメリカンホーム医療・損害保険株式会社)に転職。沖縄コールセンター管理チームのマネージャーや総務部長、沖縄カスタマーサービスセンター責任者を歴任後、株式会社セシールへ入社。同年、株式会社セシールコミュニケーションズ代表取締役に就任。フジテレビ系列、株式会社ディノスと株式会社セシールが経営統合し、株式会社ディノス・セシールコミュニケーションズへ社名変更。改めて代表取締役社長に就任、現在に至る。
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JOB ANTENNA MAGAZINE vol.5 「CATALYST」より

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