CATALYST レンタカーの安心・安全をとことん追求し、最新の車体を揃えることでお客様の資質も向上していく|沖縄ツーリスト株式会社 常務取締役(OTSレンタカー・国際部担当役員) 中村 靖

2017年11月06日
「外国人旅行客の増加」というキーワードは、これまでインタビューをしてきたカタリストが口を揃えて発してきたフレーズであり、観光立県沖縄の“追い風”と捉えている点は共通している。今回のカタリストは、沖縄ツーリスト株式会社 常務取締役の中村靖氏である。中村氏はOTSレンタカー部と、インバウンド(訪日客)を担う国際部の部長を兼任している。今回は特に「外国人旅行客の増加」と密接な関係にあるレンタカー事業について詳しく話を伺った。

OTS中村専務

量より質を目指した、ソフトとハードの整備

平成28年、沖縄への入域観光客数は861万3,100人で、前年と比べ85万100人増加、過去最高を記録した。そのうち外国人が208万人と、ついに200万人を突破。レンタカー事業では外国人旅行客の数増加を一番肌で感じていると思うが、その数値の上昇に伴って保有台数はどのくらい増加しているのだろうか。 「それはよく言われるのですが、実はOTSのレンタカーの保有台数はピーク時の半分にまで減らしているのが現状なんです」 中村常務の口からいきなり驚きの発言が飛び出してきた。いったいどういうことなのか、具体的な話を聞くことに。 「沖縄は南北に長い島ですが、公共交通が十分に整備されているとは言えないため車が不可欠です。昨年度の沖縄県内の訪日外国客へのレンタカー貸出件数は、12万台でした。そのうち7万台が弊社の車ですので、シェアは55%ということになります。内訳としては、台湾、香港、韓国からのお客様が多いですね。そのほとんどが個人旅行客ですので、必然的にレンタカーの需要も高まっています」 だとすれば、なぜ保有台数が減ったのだろうか。 「昔はジャンボジェット機で大量輸送の時代でしたが、今はLCCの時代。1便当たりの送客数は減りました。量の時代から質の時代に変わった、と言うこともできますが、意識的に保有台数を減らした部分も大きいですね。ピーク時5,500台あった保有台数が、今では2,500~3,000台ほどになりました。安かろう、悪かろう、質より量、という商売に疲れたのです。例えば、よくあるツアー料金に『沖縄周遊29,800円、レンタカー付き!』とかあるでしょう?あれは“付き=無料”なので、仮にレンタカーは要らないよと言ったところで安くはなりません。ということは、ユーザーからすると完全におまけのサービスなんです。そうなると、貸し出した車両の扱いもぞんざいになりますし、こちらもお金はかけられませんから、どうしても安かろう、悪かろうのサービスにならざるを得ません。車両自体もそうですし、接客サービスや補償面でも同じでした。そうなるとクレームも多くなります。これって誰も幸せにならないんですよ。我々も疲弊する一方です。そこで4年前に車両をハイブリッド車に一新することで、その流れを変えたのです。燃費のよくない旧来の車両では、レンタル代は比較的安価でも、ガソリン代が高額になります。一方、燃費がよいハイブリッド車では、レンタル代は多少割高になっても、ガソリン代を含めると旧来車よりも総額で安くなります。お客様、レンタカー事業者の双方がWIN-WINとなります」

OTS中村専務3

クレームもストレスも減らし、みんなが笑顔に!

確かに話を聞いていると、みんなが笑顔になれるWIN-WINの流れである。車両すべてを一新するには数億単位の投資が必要だった、というから生易しいことではなかったはずだ。しかし、その英断が悪循環を断ち切るに至った。さらには車両も2年で入れ替えることにした。レンタカーの車検は初年度2年で次の年から1年になる。買い替えないで車検を受けるコストと比べ、差額は多少高くとも、新しい車両を常に提供できるというメリットが有利に働くのだと中村常務は語る。 「運営する側としても新しい車のほうがトラブルやクレームも少ないんです。提供するサービスの質が向上することで、お客様の質もよくなり、結果として社員のストレスが減りました。燃費がいいとお客様もうれしいじゃないですか。臨空豊崎営業所のお客様の70%以上が訪日外国人なのですが、日本人と比べると事故率がいくぶん高い傾向があります。交通ルール自体が異なりますからね。なので、安心パックという補償面を充実させた商品を作りました。仮に事故を起こしたとしても、飲酒運転などの違反がない限りは、余計なお金を払わなくてもいいような仕組みです。ほかにも、安心・安全に配慮した取り組みとして、車両に4ヵ国語に対応したカーナビや、ブレーキアシストやドライブレコーダーも標準装備しています。うちは旅行パッケージのなかで車を貸し出していません。お客様が安心・安全を求めて弊社を選んでくれているのです。みんながうれしい、そういう流れを作っていけいているんだと思います」 数年前と比べると、圧倒的に働きやすい職場環境になったという。朝から晩まで車を洗ったり、運んだり、さまざまな煩雑な業務があったのが、業務が平準化していき、従業員の勤務状況も安定した。まさに量から質への転換による好循環である。

OTS中村専務2

安心・安全の追求

「OTSレンタカーがやっていて他社さんが取り組んでいないことといえば、“事故車両の展示”と“警察やJAFとの連携”です」 “事故車両の展示”と“警察やJAFとの連携”。それは具体的に一体どういうことなのだろうか。 「実際の事故車両を展示し、見ていただいて、運転に自信のない方には別の手段を提供してもいいのではないか、という思いがあります。事故は未然に防ぐに越したことはありませんから。実際に運転に自信がないというお客様には、観光タクシーの手配をすることもあります。それでも起こってしまった事故のスムースな対応のために、先ほど述べた補償とは別に、警察およびJAFとすぐに連携を図れるシステムとして、24時間多言語トラブル対応窓口を設けています。予約の際も、万一の際も、外国のお客様に安心していただけるように日々努力しています」 24時間多言語トラブル対応窓口というのは、世界的にも稀なものだ。 10年前に台湾、3年前にシンガポール、2年前に韓国に予約センターを作った。外国籍の社員は67名もいる。なんと社員数の1割だ。OTSレンタカーの、安心・安全に対する熱意が感じられる。オプションでwi-fi機器も貸し出しているという。さらにはスムースな自動車道(高速)の利用のためにETCカードも貸し出している。そういった地道な努力の先に見据えているのが、沖縄の活性化、地域振興だと中村氏は続ける。

地域資源を観光資源に

「沖縄の活性化というか、沖縄のさまざまな場所にお客様に訪れていただきたいのです。沖縄観光をもっと盛り上げるためにも、那覇周辺だけが脚光を浴びるのではなく、もっと北部や東海岸にも人が訪れる流れを作りたいと思っています。沖縄は車がないと動きにくい土地です。鉄道化という案も出ていますが、かなりの時間を要することだと思いますので、レンタカー業務に力を入れつつ、レンタカーに乗れない人のことも同時に考えようと。そういう方々にはバスやタクシーで各所を回るオプションを提案したりしています。OTSのホームページには、レンタカーとホテルとオプショナルツアーの3つのサイトがあるんです。“泊まる、遊ぶ、動く”…沖縄を観光する際に必要なものすべてを提案しているんです。目下、一番の課題は那覇市内の渋滞の緩和ですね。ETCカードを貸し出しているのも自動車道の出入口付近の渋滞緩和策の一環です。外国人の方は普通ETCカードを持っていませんから、どうしても一般レーンに渋滞が生まれがちですので」 OTS中村専務4 那覇市内の渋滞時における平均時速は13kmで、日本一の渋滞地区と言われている。また県外から沖縄に遊びに来た観光客たちは「那覇周辺だけでいいかな」と思う人も多い。行くとしても沖縄美ら海水族館くらいなもので、途中どこかに寄ることもほとんどしない。北部や東海岸の魅力を知らないのだ。 「私は沖縄活性化の鍵は東海岸や北部の開発だと思ってます。地域資源があるのだから、それを観光資源にしない手はありません。行っても何があるかわからないから行かない。その流れを変えたくて、数年前にあるツアーを提案しました。2年に一度地元民だけで行なっていた名護の豊年祭ですが、そのなかの演目が沖縄でも大変珍しいものだったので、ツアーに組み込んだのです。そのツアーには、県内外からたくさんのお客様が参加され、大変喜こんでいただきました。域外の方から、地元の伝承文化が評価され、楽しんでいただいたことを目の当たりにして、地元の方々は、自分たちがおこなっている豊年祭のすばらしさを再発見したそうです。まさに、灯台下暗しです。これを機にこの豊年祭は、現在では年に1回開催されるようになっています。実は、これは県外の方に言われて気付きました。そういう隠れた“宝”が東海岸や北部には、まだまだたくさんあるので、それを見つけて磨きをかけて、点だけじゃなく面にしてツアーにしていこうと考えています」  

平準化にすることで売り上げが倍増

中村氏の話に一貫して共通するのが“平準化”というキーワードだ。職員の業務面もそうだし、沖縄の渋滞や観光資源としての注目の浴び方まで含めて〝“平準化”を目指しているという。 「確かに、“平準化”というのは常に意識しています。昔、ピーク時は社内にいる間だけで1日に25,000歩も歩いていました。年間の売り上げ目標さえ決めて達成できるなら、仮に暇な日があってもいいと考えていた。しかし、凹んでいる部分をカバーして、ピークの山を減らしたら、結果的に売り上げは倍になりました。それをどうやってお客様に還元するかを日々考えています。4年前に思い切って変えたことで、今はすごくいい循環ができていると思います。私は、旅行部からレンタカー部に異動してきたのですが、当初、レンタカー事業にとまどいました。しかし、それまで旅行部門で培ってきたお客様目線のサービスを、レンタカー部でも実直におこなうことで、徐々に成果が出てきました。今後は、レンタカー事業を主軸に第三国観光も視野に入れています」 第三国観光というのは、日本以外の国のお客様を、別の国の拠点へと送客する流れのことを指す。 「今までは県外からの日本人のお客様を主に相手にしてきましたが、現在では海外のお客様が多い状況です。予約センターが台湾、シンガポール、韓国にあるので、そこで予約を受けて日本に送客するという仕組です。今後は外国のお客様を外国に送りましょうということで、ニュージーランドのクイーンズタウンに2015年の11月に会社を設立しました。空港の隣に1,500坪の敷地を用意し、そこでレンタカー業務と旅行業務を始めます。これからは語学力を含めて高度な人材が必要になってきます。能力の高い人材に来てもらうためには、彼らが活躍できるステージを作らねばなりません」 【FBOGP】中村常務6

東アジアへの進出と人材の育成

今まで旅行者が予約する順番は、飛行機、ホテル、レンタカーの順だったが、今はレンタカーがかなり早い時期に抑えられている。LCCの登場で個人の旅行形態や流通が変化していったのだ。今後は東アジアのお客様も視野に入れていくことが大きく成長する鍵である。 「質を落とさずに、国内外問わず、旅行者のセルフドライブが増えることに対応していこうと思います。でもそうなると、まだまだ細かいサービスで足りないところがあります。特に接遇関係は、専門家に指導してもらう研修を導入することにしました。レンタル車両は買おうと思えばすぐ買えますが、人はすぐに育ちませんから。これからは人を育てていくことに力を入れていきたいと思っています」 社員の能力開発の一環として、2016 年12月に臨空豊崎営業所内に整備工場を作ったのだという。 「人材の育成という意味では、まずは整備士や技術系の人材も増やしたいので、整備工場を作りました。通常、サービス工場に就職して一定期間経ないと取得できない資格を、そこで研修と実地を踏むことで取得できるようにしたのです。また、社内には放送大学の学習室もあります。これは、民間の施設内に設置された日本で唯一の学習室です。社員には、放送大学の講座受講を奨励しており、受講費用は会社が負担しています。そのほか、臨空豊崎営業所では就業時間後に、英会話、空手、三線などの教室も開いていて、希望する社員に受講してもらっています」 【FBOGP】中村常務7 OTSレンタカーでは、どのような人材を求めているのだろうか。具体的に質問すると、中村氏は「情熱と勇気を持って、努力を惜しまない人ですね。そして、これから私たちが取り組んでいく目標に、共感してくれる人です。レンタカー事業を通じて、お客様のQOL(=Quality Of Life:生活・人生の質)、地域社会の方々のQOL、そして社員のQOLの向上を図っていくことが、私たちの究極の目標です」と即答してくれた。 情熱と勇気と努力を備えた若人の挑戦を、OTSは惜しげもなく応援していく。  
中村 靖(なかむらやすし) 1960年 名護市生まれ。1981年、東京商科学院専門学校卒業後、株式会社東和モータース勤務を経て、1985年に沖縄ツーリスト株式会社入社。2014年、常務取締役に就任。現在、レンタカー部門(OTSレンタカー)および国際部(インバウンド部門)担当役員。一般社団法人沖縄県レンタカー協会副会長。沖縄県知事認証泡盛マイスター。
<沖縄ツーリスト株式会社の求人情報> ▼沖縄の地域資源を観光資源に。県内No.1のレンタカー事業で沖縄を盛り上げる OTS中村専務5求人バナー沖縄ツーリスト株式会社の会社情報  
JOB ANTENNA MAGAZINE vol.3 「CATALYST」より

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