CATALYST 賃貸住宅を貸す方と借りる方の「安心」をサポートし、 賃貸ライフの頼れるパートナーでありつづけるために、さらなる企業価値の向上を図っていく。丨全保連株式会社 代表取締役 迫 幸治

2017年04月19日
賃貸物件を探したことのある人ならご存じの方も多いのではないだろうか。今回は家賃債務保証業務で業界シェアナンバーワンを誇る全保連株式会社、代表取締役社長・迫幸治氏にこの業界について多角的に話を聞いてみた。実家住まいや、持ち家だという読者もいると思うので「家賃債務保証業務」というものを説明すると、賃貸物件を契約する際、連帯保証人を必要となる。しかし昨今、高齢化や少子化、核家族化や離婚率の増加で連帯保証人探しが困難であったりすることもしばしばだ。そこへ登場したのが「家賃債務保証サービス」である。賃貸住宅を借りる側にも貸す側にもより高い安心を得られる画期的なサービスだ。迫社長はこの家賃債務保証業界の革命児である。いったいどういう経緯でこのサービスを展開、成長させてきたのだろうか。

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どんな些細な事柄でもキャッチしていく能力が長けているのが、経営者の才覚

「私は鹿児島生まれの広島育ち。23歳のときに貸金業をやるために沖縄に来て、それから約20年間貸金業に携わっていました。消費者金融業としては沖縄ではナンバーワンでしたが、1990年代後半ごろに〝過払い請求〟という問題がクローズアップされ始めました。最高裁の判例がきっかけで、それまで利益だと思っていた利息を、返還しなければならなくなり、大きな痛手となりました。これを機会に〝別の業界に夢を探そう〟と業種変えを決心したんです」 〝家賃債務保証業務〟というサービスを思いついたきっかけは、貸金業を営んでいるときに不動産業の知人から「督促業務を代行してもらえないか」と相談されていたことを不意に思い出し、それがヒントになったのだという。どんな些細な事柄でもキャッチしていく能力が長けているのが、経営者の才覚でもある。 「督促って大変な業務なんです。これはそのままやると弁護士法違反なので当時は断っていました。でも新業態を考えていたときに、ふとそのことを思い出したんです。合法的にやる方法があったらいいのでは?  と思って、あらためて保証に関する契約書を読んでみて、〝これならいける!〟と思ったんです。家賃債務保証業務は、まだ存在していないサービスだと思っていたんですが、福岡に支社を出したときに同業者がいてびっくりしましたね。でも、当時の同業者と当社ではコンセプトが違っていたんです。他社がやっていたのは保証人をつけられないような人だけを対象にしたサービス。でも私たちのお客様はお部屋を借りる人全員です。私たちが代わりに督促をするためには、全員に入ってもらわないといけない。人生何があるかわかりません。誰しも家賃滞納の可能性はあります。その考え方が家賃債務保証の市場を一気に広げたんじゃないでしょうか」 引っ越しの多い人にとって、このサービスが世の中に出てきたとき画期的なシステムとして驚愕したものだ。しかし、新規事業に苦労はつきもの。いろいろな方面での障害はあった。 「そうですね。サービス自体は画期的でも、不動産業界は歴史のある業界なので、『よその不動産会社が使ったら、うちも使うよ』というような感じが半年くらい続きました。でも徐々に知り合いの業者が使ってくれるようになって、半年後くらいから一気に申込みが急増しました。営業に行かなくても不動産から『家賃債務保証システム』を使いたいと言ってくれるようになり、会社設立2年後に福岡に支社を出しました。でもそうなると資金繰りが大変です。店舗を出すスピードが異常に早かったので、申込み件数も急激に増えてしまい、そうなると保証すべき金額も増えてしまう……いわゆる自転車操業に近い時期もありましたね。借入れしたくても、私たちは県外の実績のほうが多いのに、沖縄県内の数字しか評価してもらえなかったので、県外の銀行へ飛び込みしました。東京も30カ所くらい回ったかな。とにかく必死でしたから。でも『あと3カ月以内に何億円必要!』というピンチのときに、助け舟を出してくれるところが現れるんです。『あー、よかった!』みたいな」 知力・体力・時の運とはよく言ったもので、成功する経営者はチャンスを摑み取る勝負運の強さがある。その後、業績は一気に伸び、設立4年後には東京にも支社を置き、さらにその翌年、北海道にも支社を設立。2010年に沖縄と東京2本社制を取り入れた。 「沖縄でできることはなるべく沖縄でやりたかったんですね。沖縄に来て貸金業をやりだして、長く住んでいるのも沖縄なので。沖縄でやれることは沖縄に残して、企画や情報収集等は東京でやろうと。沖縄に本社があって、県外に展開する企業というのは少ないでしょう。顧客は日本全国にいると思ったので勝算はありました」 まさに急成長を遂げたわけだが、そうなるとその成長に伴い会社のシステムも当然変えていかなければならない。器が大きくなれば中身も変わる論法と一緒である。  

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長期的展望を見据えて先に価格を下げる

「貸金業のときに、沖縄で5店舗展開後、大阪に次の店舗を出したことがあるので、ある程度までは経験があったのですが、全保連として北九州に3店舗目を出したときに、商品や出納帳の流れなど、やり方をずいぶん変えました。一番大きな変化は社員数が400人になったときですね。200人→300人と増えたときはいろいろ変えながら、それでも自分でやっていたのですが、400人になったときに、『これ以上は自分で管理できない』と思いました。このままではダメだと思って、何千人、何万人という社員のいる企業で部下を束ねていた人たちを、いろんな業界から15名くらい集めました。その人たちを中心に新しい部署を作ったりして、すぐに軌道に乗った部署やシステムもありましたが、15名のうち10人くらいは退職して5人が残ったという感じですね。既存の社員との軋轢なんかもあったりして、それを受け入れる、受け入れないという葛藤でやめていく人がいたり。でも残った5人のおかげで今があるのだと思って感謝していますね。もう少ししたらまた社外から新しい人材を、と考えています。また問題は起こると思いますが」 そう言いつつもカラカラと笑う迫社長は、こう言葉を続ける。 「3年前までは、売り上げもシェアも業界一位だったんですよ。でも、2年前に売り上げで抜かれて、今は再び一位の座を奪還すべく準備中です」 驚きの言葉である。全保連の現在の保証件数は累計で180万件。協定している不動産会社は3万2000社を超え、業界シェアはナンバーワンだが、実は売り上げ金額は業界一位から二位に「下がった」というのだ。 「まぁ、実は売り上げは〝落ちた〟のではなく、利益率を下げてでもシェアを拡大させたほうが将来的に有利になると見込んで〝落とした〟と言ったほうが正しいです。当社の保証料率は業界平均の半分くらい。価格競争になったときに将来のことを考えもせず、〝相手が落としたからうちも落とす〟ということでは経営は難しい。計算しながら今のうちに落とすほうがインパクトもあるし、勝てると思ったので、思い切って3年前に保証料金を引き下げました。売上高では抜かれるだろうなという予想はあったものの、いざ抜かれてみると悔しいものですね(笑)。料率を下げつつ、一位を奪還したい。取られたら取り返す、その意識を徹底したことによって、これまでは前年対比5%前後の伸びだったのが、この12月~2月を見ると、15%くらいの伸びになりました。1年がかりでようやく波に乗ってきたかなと思います。でも、もっともっと攻めないとダメですね。10年後の会社設立25周年までに、今の売り上げの3倍近くにする、保証件数を300万件にするという目標があります。その数字達成のために社員にはハッパをかけています。社員数も足りてはいませんが、かといって3倍にはできない。目標としては1000人で300万件を達成したい。そのためにどうすればいいか、今考えているところです。10年後はおそらく、業界全体のサービス料は極端に下がっていると思うので、今の利益構造とは違うはずなんです。300万件を達成したとしても、それを維持する程度の利益しか上がらないのではないかな、と。だからその300万件になにか、付加価値をつけるサービスを模索しています。一件の契約につき、1000円ほどの商品を上乗せができれば30億円の売上が見込めます。そういう流れを作りたいなと思っています」 ただでは起きないその姿勢は見事としか言いようがないが、料金を下げるというのはとてもリスキーな決断でもある。 「不動産業というのは、地域性が強い業界です。たとえば、近畿地区は大家さんが強くて、逆に北海道や名古屋は仲介業者が強い。バランスがいいのは沖縄です。仲介の強いエリアだと、極端に言えば入居者なんて誰でもよくて、とにかく空室を埋めればいいと思われがちです。なので、そういう地域性によって商品をカスタマイズしています。料金を下げた、と言いましたが、値段を下げて申込みが減るのでは利益が単純に減るだけなので、これは戦略的に一部地域のみに導入したんです。近畿地方はたぶん金額に敏感だろうと思い、まずは近畿から。それが大成功したので、中部、四国、沖縄でもやろうと、地域別に導入している段階です」  

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将来を見据えた上で、リスクをも厭わない迫社長。安物買いの銭失いばかりを繰り返している庶民には耳が痛い話しだだが、何かピンチを切り拓くための心構えみたいなものはあるのだろうか

「自分の中に、〝失敗する〟という発想がないんです。現状があまり良くなかったとしても、たとえば銀行で資金調達できれば、こういうことができる!  と考えます。それを達成するとまたひとつ問題点が出てくるので、その繰り返し。中期・長期のイメージを描いて、そのまま突き進むだけです。でも一時期、数字が横ばいのまま抜け出せなかった時期がありました。どうして伸びないんだろうと思い悩みました。『社員にやる気を出させればいいのか』とか『自分があと4人いれば』とか、そんなことばっかり考えてたら、なぜかふと、人のせいにしていたら何も解決できないなと思ったのです。自分がうまく社員を育てればいいじゃないかと。それができないのは、『今の自分が悪いのだ』と。自分自身が人間的に成長したときに、解決ができた。そういうことがありましたね。人のせいにばかりしているようでは、いつまでも横ばいのまま。したいことを我慢する一生になってしまう。僕自身の人間性と会社の成長は比例している。会社組織というのは、トップに立つ人間の器以上にはならないものなんです」 他人のせいにするのは簡単、すべては自分次第。トップになる人間の資質はどの業界においても同じ。迫社長の言葉は、非常に端的で心にすっと染みわたってくる。そんな迫社長が目下取り組んでいるのが、クレーム対応。 「いま、最重要視しているのはクレームをゼロにすることです。金融にもトラブルはつきものでしたし、当時の私も『クレームはゼロにしないといけない』と口では言いつつも、それは難しいと思っていました。というのも、その電話の内容を精査すると中にはどうしても『これはタチが悪いな』『うちは悪くないのに』と思ってしまうようなものがあるわけです。金融のときは顧客対会社、つまり1対1で接するので自分たちだけで解決できましたが、この業界はそうもいきません。顧客がいて、不動産会社がいて、当社がいる。クレームがきっかけで関係が悪化するのは得策ではないですし、クレームが来るということは少なからずどこかに問題があるということなので、真剣にクレームをゼロにする努力をしました。すると、2年間くらいで10分の1くらいの件数になりました。まだ、ゼロにはなっていませんが、常にゼロを目指さないといけないと思います。『できない』という思い込みを捨てて、私自身が本当にゼロを目指せれば違う結果が見えてくるはずだと思うんですよね」  

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福利厚生を良くすることで、社員のモチベーションをあげる

全保連はボランティアや地域貢献も盛んである。難病患者に対して相談や就労支援を行い経済的自立への道を切り開く「認定NPO法人アンビシャス」を設立し、迫社長はその理事長も務めている。また沖縄県の障がい者雇用にも積極的で、障がい者雇用率を2.9%に押し上げた。 「ボランティアも地域貢献も、それ自体が目的ではないんです。いやらしい言い方をしてしまえば、〝情けは人のためならず〟。4つの目標――シェア、売り上げ、商品内容、給与水準すべてを業界ナンバーワンにすること――を達成するためには、そういう風にするとよいのでは、と期待するからです。福利厚生に力を入れるのもそう。社員がやる気を出して、もっと仕事をしてくれるんじゃないかと思って。結果的にみんなにとってもいいというだけのこと。給料が上がると、会社に貢献できているということだから、みんなも自分の給料が上がる方法を考えてくれ、と。誰のためでもなく自分のためなんです。障がい者の雇用についても、高尚な理想があったとかではないんです。最初はあまり前向きではありませんでした。無理すると社員も働きにくいかもしれないし、障がい者の法定雇用率を達成できない場合は納付金を納めることになるので、『じゃあお金払えばいいか』と思っていました。でも、さっきの自分自身の成長論と同じで、障がい者雇用をマイナスとして捉えているからいけないのでは?  と思ったんです。障がいのある人にできる仕事を生み出せない私たちが悪いのではないかと。それで人事総務部と相談して、県内に数台しかない大型の印刷機を買って、パンフレット類の印刷や、年間数万通の郵便物の印刷・発送を担当してもらうことにしたんです。」  

雇用面でも研修制度を積極的に取り入れたりと余念がない。意欲ある若者にチャンスを与えて活躍してほしいという

「沖縄本社で働く社員のほとんどは県内の人間です。県外からの転勤組が5%。沖縄から県外に行っているのが、東京本社だけでも20人くらいいます。転勤や異動も多いので、研修制度を設けて、他の支社や部署の様子を見て回れるようしています。全国の支社から毎月25名くらいの社員を金曜日に沖縄に集めて研修を実施し、夜は私も参加して親睦会。土日は県内を観光し、月曜日に帰ってもらう。逆に沖縄本社の社員は、東京本社に行って研修を実施しています。10年後の大きな目標達成のために欲しい人材は、『どこにでも行きます!』という意気込みのある人ですね。沖縄の人は沖縄を離れたがらない人が多いのですが、もっと気軽に県外へ飛び出してほしいです。他の業界や会社を自分の目で見て、なんならその会社に行ってもいいと思います。どこででも通用するような力をつけた上で、沖縄に帰ってくるチャンスを与えますし、そうすれば沖縄への貢献にもつながりますから」 迫社長の話を聞いていると、自分の限界を決めているのは自分自身だということがよくわかる。是非熱意のある若い人に、その限界を打破するべくチャレンジしてほしいものだ。 夢は諦めた瞬間に終わる。恥ずかしい夢などひとつもない。だから諦めずに前に進んでほしい。  
迫  幸治 (さこ ゆきはる ) 1955年(昭和30年)生まれ、61歳。23歳のときに単身沖縄に移住して消費者金融業を起業。2001年(平成13年)に全保連株式会社を創業し、家賃保証業界のパイオニアとして業界の発展に深く関与。(一社)全国賃貸保証業協会会長、(一社)九州不動産公正取引協議会理事、認定NPO法人アンビシャス理事長、(一社)沖縄県事務職育成連携協会理事長、沖縄広島県人会会長、他業界団体や地域貢献活動に積極的に取り組んでいる。
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