CATALYST 比較的早いうちにチャンスを得られるサービス業は最終手段ではなく、楽しい分野丨株式会社ロワジール・ホテルズ沖縄 常務取締役 総支配人 道上 浩之

2017年03月15日
那覇空港から車で走ること約7分、夕景と飛来するジェット機が交差し、さらにクルーズ船が来航する美観が眺められるのがロワジールホテル 那覇。ウェディングから宴会、レストランまで揃うフルサービス型の大きなホテルである。客室数は600を超える。今回のインタビューは最上階にあるスイートルームにて総支配人である道上浩之さんにお話を伺った。

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まずは、道上さんの経歴から伺ってもいいですか。

「生まれは北海道の札幌です。地元の大学を卒業後、ホテルに勤めました。沖縄に来たのは5年前。それまではホテルニューオータニで13年間、みっちりと鍛えられてから、知人が洞爺湖のウィンザーホテルで社長をやることになったので、「手伝ってくれないか」ということで、そちらに移りました。北海道と東京でしか働いたことがないのですが、北海道と沖縄は県民性が似ていますね。本州のことを内地、と呼ぶのも同じですし、東京と違ってゆっくりと時間が流れていく感じも共通しています。ロワジールホテルは、ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツという、全国にあるチェーンを展開する会社なのですが、ここに入って今年で10年目になりますね」  

そもそもなぜホテル業界に入ろうと思ったのですか。

「私の学生時代はまだバブルがはじけていなかったので、華やかだったんですね。デート先がホテルなんて普通で、みんなおしゃれをして背伸びしていた時代だったんです。ブランドや格式がもてはやされるような流れでしたから。当時のサミットは迎賓館で開催されていたのですが、そこにニューオータニのスタッフが来ていたことがきっかけです。レーガン、サッチャー、ミッテランなどカリスマ的な元首たちをホストしている姿を見て、単純に憧れたんです。それが、入社した89年にバブルがはじけて急に風向きが変わってしまいました。その後は〝失われた20年〟なんて言われるほど、ホテル業界は低迷しましたね。ここ数年でようやく復活のきざしが見えてきたという感じがします」  

それは、観光客数が年々伸びてきているからですか。

「そうですね。その分、これから競争も更に激化してくると思いますよ。2020年に第二滑走路ができて、東京オリンピックが開催されますよね。それまでにホテルの数もどんどん増えていきます。現状では受け皿が足りない状況なんです。うちも外資なんですが、今後もっと外資系ホテルが台頭していくでしょうね。ハイアット、ウェスティン、リッツ……実は、沖縄のホテルの8割が、建物の所有者とサービスの提供は別なんです。不動産を持っているオーナーさんがいて、運営はサービスのプロに任せていることがほとんどで、ここも例外ではありません。マンションや貸しビルと一緒で、投資家にとってはホテルも投資対象です。ホテル経営と一口に言ってもノウハウは多岐に亘ります。たとえばリニューアルも何年に1回やったら効果的だとか、そういう細かいノウハウがたくさんあります。デベロッパーや不動産側はそういうハード面に関しては詳しい。でも、サービスはサービスのプロである私たちに任せたほうがいい。要は、私たちはパソコンでいうソフトウェアなんです。昔のように、大企業が不動産を所有して、運営も自社で、というビジネススタイルが主流ではなくなってきています。その流れ自体は悪いことだとは思いません。時代の変遷とともにホテルの在り方そのものが転換期を迎えたのでしょうね」  

それは知りませんでした。日本だけでなく海外も含めて今はそういう流れなのでしょうか。

「はい、むしろ海外から来た流れですね。これは知らないのが当然です。我々も特に隠しているとかそういうことではないのですが、表に出しても、特にプラスにはならないんです。あくまで登記上の話なので、利用するお客様にとっては関係のない話ですからね。でもこのシステムは利点がたくさんあります。所有者側は、運営を全てサービスのプロである私たちに任せていればいいし、なにか問題があれば契約先をよその会社にすればいい。世知辛いようですが、運営側からすると、オーナーさんに見限られないようにサービスのプロ化が進みます。なにかあったら一社内だけの話では済まないからです。投資家がいるからには、その期待に応えなければならない。常に危機感があることにより競争原理が働きます。お客様を喜ばせるのは当たり前で、その上でより効率のよい運営を目指さなければいけないんです。美味しいものを出すにも原価率を計算しなければならない。結果として、所有者側にも、運営側にも傾かないので求められるものはシビアですが、お客様が享受するサービスも向上しているはずです」

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海外旅行客数、2016年には200万人を突破すると言われていますが、今後の対応などはどう考えてらっしゃいますか。

「観光業界には追い風が吹いていますね。これまではずっと円高続きでした。円高だと日本から海外には行きやすいが、その逆は難しい。しかも国内はずっとデフレで、安いものしかモノが売れない。それが円安に変わってから、流れもガラッと変わりましたね。東京オリンピックが目前だということも後押ししています。海外からの旅行者も一気に増えました。海外旅行客からすると、『行ってみたら、意外と日本はサービスの質も食もいい』ということがわかったんだと思います。韓国と比べても、今は日本のほうがレートも良い。そういうものもすべて影響していますね。そうなってくると、どこの国も似たようなもので、世界の国はこうなっている的な番組の露出が増えるんです。それがちょうど北陸新幹線の完成後だったりして、そういう仕掛けがたくさんあったんだと思います。『日本は行きやすくて、安全で、楽しい国』という刷り込みが、相手側の国のほうでも周知されるようになったんです。だからこれから観光業界・ホテル業界は伸びていきますし、この流れはまだまだ止まらないと思います。特に福岡・沖縄はクルーズ船で来るお客様が多いんですが、滑走路が拡張されると、もっと来やすくなりますし、沖縄の位置は東南アジアと東京の中間。ここはグローバルにいろんな国の人たちが楽しむ場所でなければならないんですね。マナーやモラルの違いなど、さまざまな問題点があると思いますが、日本人も海外に行きたての頃は浴衣でロビーに行くことが問題視されたりしていました。時間と文化が解決してくれるはずだと思うので、やさしい目で見ていきたいですね。クルーズ船だと、寄港している時間に限りがあるので、もう少し彼らの立ち寄る場所に広がりがあるともっといいな、と思います。基本は船中泊なので、ホテルには直接関係ないかもしれませんが、それ以外のところに魅力的なものがあると知ってくれたら、また戻ってきてくれたり、それを聞いた友人・知人が……という展開もあると思いますので」

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そうなってくると、受け入れる体制を整えるのが大きな課題になりませんか。

「そうなんです。ホテルが増えているので、この業界は圧倒的な人手不足です。優秀な人にはどんどん入ってきてもらいたいと思っていますが、まず、うちは今いる優秀な人材が辞めていかないで済むシステムを整えています。特に、女性スタッフが活躍できる職場作りを心がけていますね。そのおかげか、管理職にも女性が増えていて、課長にも女性がいます。産休に入るからとか、女性だからとか、関係ありません。人手不足だからといって、休ませないなんてこともないです。ちゃんと有給休暇は消化させていますね。その辺に関しての法令順守はしっかりしています。社員を大切にする事例としては、ホットライン制度というものがあります。第三者機関というものがあって、何か問題があったら上司を通さず、そこに通達することができるんです。上からは見えないものがやっぱりあるんですよね。私がいくらきれいごとを言っていても、間に入っている人間が別のことを言っていたら、下まで届かない。だから、曲がったことのできない緊張感というものが常にあります」  

人材育成・採用が今後の急務だと思いますが、どのような人材を求めてらっしゃいますか。

「私自身の過去を振り返ると、最初はベルボーイからのスタートでした。2年でフロントになって、それから宿泊の営業もやりました。ウェディングも経験しましたので、一通りはやってきましたね。ホテルマンにもタイプがいろいろですが、私も接客マナーが完璧なホテルマンではないんです。傾きかけたところに行って、再生をはかる「直し屋」とでもいいますか。もっと上質なサービスのできる人間はたくさんいます。私の場合は、何かしら落ち込んでいるホテルに行って、直すのが得意です。どこが負の要素なのか探すところから始まります。求める人材も、語学はそんなにできなくてもいいんです。もちろん、最前線に立っている人間、フロント業務やコンシェルジュにはそれを求めますよ。でも語学だけが得意な人はいらないんです。入社してからコツコツと勉強すれば良いですし。それより人とコミュニケーションが取れて、ちゃんと人を使える人間が望ましいですね。学力ではなく、人を惹きつける人というか、ミッションを預けられる、成功させてくれそうだっていうキャラクター。そういう人材を求めています。 ミッションを預けるという話で、一例を挙げさせていただくと、ホテルの1階にあるパン屋さんですね。 pan01 pan たまたま空いたスペースを使って、若手にパン屋をやらせてみたんです。発案こそ私からでしたが、実際にどういう風に動かすか、どんな商品を置くか、価格設定はどうするかなど入社2、3年目のスタッフを中心として一切を任せています。そこのミーティングには私も参加せず、彼らが議事録だけを送ってくれるんです。新鮮でしたね、若い発想力や女性ならではの視点の発言が多いことに驚きました。今後が楽しみですね。あそこのパン屋をホテル直営とせず、別の名前を付けたのも、もし成功したらどんどん出ていけるように、という配慮からです。直営ではそういう発展が望めませんので。やはり、好きな人にやらせると違いますよね。うちはトップダウンだけでなくボトムアップから生まれることも多いので、柔らかい発想で、どんどん若手にリードしていってほしいと思います。トップダウンではなしえない、わかりやすい事例ですよね。でも、これはたまたまの成功例です。その背景には、かなりの数のボツ企画が……(苦笑)。アイデアは出したもの勝ちですから」  

では、25~35歳の読者にメッセージをお願いします。

「この世代の方っていうのは、まさにこれからの黄金の世代ですよね。ぜひ沖縄の観光業界を盛り上げてほしいと思います。人口が減っている以上、製造業のこれ以上の発展は難しいですよね。だとしたら、外から人を呼んで、いろいろ買ってもらっていっぱい外貨を落としてもらう。目指す道はそれしかないと思います。そのためにはまず我々ホテル業界が、しっかり利益を出して、給料も上げて、若者に魅力的であると知ってもらわないと。サービス業は最終手段ではなく、楽しい分野なんです。成長分野なのに人材が育っていないのはもったいないですね。比較的早いうちにチャンスを得られる、やりがいのある仕事です。面白味もたくさんあるので、それを伝えたいですね。挑戦を待ってます!」  

ホテル業界全体を盛り上げる、という意味では、もうずいぶん昔になりますが「HOTEL」というドラマがありましたよね。あれでホテル業界に憧れた、なんていう人も多いんじゃないですか?

あの作品に出てくる藤堂マネージャーは、実在のモデルがいるんです。私の師匠のような存在でもあり、ホテル業界のカリスマみたいな方。ニューオータニでは上司でした。本も書いているので有名な方ですよ。私にとって印象的だったのは、『ホテルマンの常識でお客様を見るな』と言われたことですかね。先入観を持つな、と言うんです。『来る前にちゃんと顧客をプロファイリングしたのか』って。『この人の一番喜ぶシーンはこうじゃなかったはずだ』みたいな。衝撃的でしたが、その方の下にいたことはとても勉強になりましたね。これからホテル業界を盛り上げていくためにも、『HOTEL』のような作品が出てきてくれると、注目度が上がってこちらとしても嬉しいんですけどね」  
道上浩之 (みちうえ ひろゆき ) ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツではロワジールホテル 函館、旭川の総支配人及び北海道地区統括総支配人を経て現職に至る。ロワジールホテル & スパタワー 那覇においてはバック部門のシステムカスタマイズを積極的に導入し労働生産性の向上を目指す。チェーン内ではロワジールブランドのクオリティ向上とセールスネットワーク強化を推進、ロワジールホテル全体の顧客満足度向上を担っている。
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